やや過激なストーリー、出演者の過剰な演技がやや鼻につきもしたが、何せ出演陣が豪華である。「下町ロケット」でご存知の池井戸潤の原作だが、もう少し丁寧に描いてほしいという思いもあるが映画の尺では精一杯か?いずれにしてもエンターテイメントとしては十分に楽しめた映画だった。
2月27日(水)午後、街に出たついでに時間があったので、以前からできれば観てみたいと思っていた「七つの会議」をユナイテッドシネマで観ることにした。
この映画はリード文でも触れたが、今や「半澤直樹」シリーズや「下町ロケット」など企業小説では第一人者の池井戸潤の原作だということで話題だったが、それに加えて出演陣が豪華なことも公開前には話題になった。
出演陣を羅列してみると、野村萬斎、香川照之、及川光博、片岡愛之助、音尾琢磨、藤森慎吾、朝倉あき、岡田浩暉、木下ほうか、吉田羊、土屋太鳳、小泉孝太郎、溝端淳平、春風亭昇太、立川談春、勝村政信、世良公則、加賀丈史、橋爪功、北大路欣也、と錚々たる面々である。
映画は企業の売り上げ増を至上命題として上層部からの過激な要求に苦闘する営業部員と、その中で発生する品質の偽装問題を暴いていくというストーリーである。
我が国では大企業が次々と製品の偽装で世間を騒がせている。映画で描かれていたストーリーもあながち絵空事ではないと観客は思わせられる。それほど現代の社会では企業間競争が激烈となっていることを窺わせてもくれる。映画ほどではないにしても、企業内において出世競争も絡んで、あるいは倫理に反することに手を染めてしまうようなこともあるのかもしれない。
企業だけではない。今や官界においても偽装や不正がまかり通っているような感すらある。池井戸潤はそうした世相に鋭く警鐘を鳴らしたとも受け取れる映画であった。
※ 入社時はライバル、今や部長と係長の間柄、偽装問題に直面し鋭く対立する二人。
また、映画は中間管理職の悲哀を描いたとも受け取れた。上司の指示に逆らった者(野村萬斎訳-八角民夫)は出世コースから外れて万年係長、上司の指示に従った者(香川照之役-北川誠)は出世コースを歩み部長として権勢を振るうが、偽装の中心人物とならざるを得なかった。
社会を鋭く観察する池井戸潤の目が、上質のエンターテイメントに仕上げた一作だった。