一本のフルートから二つの音が確かに出ていた。いわゆる超絶技巧ということだろう。フルートカルテット(四重奏)とは珍しい組み合わせのアンサンブルだということだが、選曲の妙もあり楽しむことができたコンサートだった。
3月2日(土)午後、道庁赤れんが庁舎で「HAFアンサンブルコンサート」が行われ参加した。HAFとは、Hokkaido Arts Foundationの略で(公財)北海道文化財団が道内で活動する若手演奏家の育成を図ることを目的とする事業だそうだ。
この日の出演は、フルートの按田佳央理、ヴァイオリンの林ひかる、ヴィオラの今井佑佳、チェロの山田慶一というフルートカルテットだった。この4人の組み合わせは初めての経験だと彼らは語っていた。また、フルートカルテットという組み合わせも珍しく、フルートカルテット用の楽譜も数少ないということで、この日は彼らがアレンジした形で演奏した。その曲目は、
◇ブエノスアイレスの秋/A.ピアソラ
◇オブリビオン/A.ピアソラ
◇アイ・ガット・リズム/G.ガーシュウィン
◇セカンド・ラプソディ/G.ガーシュウィン
◇ソーラン節/北海道民謡
◇さんさ時雨/宮城県民謡
◇フルート四重奏 第1番 ニ短調 K.285/W.A.モーツァルト
◇カルメンファンタジー/F.ボルヌ
〔アンコール〕◇“サウンドミュージック”より ドレミのうた/R.ロジャース
曲目を見て推察されると思うが、フルートカルテット用の曲目は「フルート四重奏 第1番 ニ短調 K.285」だけである。また全体の曲目構成を見ると、クラシックの曲ばかりでなく、バライティに富んだ曲目構成も私としては楽しめた。
また、一曲一曲についてメンバーが交代で曲目を説明してくれたのも良かった。いわゆるレクチャーコンサートのような感じで楽しめた。
フルートの良さが特に感じられたのはやはり「フルート四重奏 第1番 ニ短調 K.285」だった、演奏前のレクチャーでモーツァルトはフルートが嫌いだというようなエピソードが紹介されたが、なんのなんのモーツアルトらしい素晴らしい旋律を編み出し、フルートの良さを引き出した一曲のように思えた。
全体的にとても楽しめたフルートアンサンブルコンサートだった。