大谷が、ダルビッシュが、栗山監督が、躍進フアィターズを雄弁に語った。さらに日本ハムファイターズが北海道に移転して、なぜこれほどまでに成功の軌跡を辿ることができたかを、三人以外の選手や関係者が披露してくれた映画だった。
この映画を私は観る予定はなかった。ところが、当初予定では2月15日~28日の限定公開の予定だったものが、一部映画館では3月14日まで延長されたと新聞報道があった。このことは想定していたより反響が大きかったことを物語っているのだと思われた。「それなら観ておかなくては」と思ったのだが、新聞の映画欄にも、ネットで調べた映画館の上映情報にも「FIGHTERS THE MOVIE ~Challenge With Dream~」のことが載っていないのだ。そこでディノスシネマズ札幌に直接問い合わせたところ、しっかり上映しているという。これはどういうことなのだろうか?
そのことはともかくとして上映していると聞いて、3月6日(水)午後2時45分からの上映を観賞することができたというわけだ。
映画は日本ハムファイターズが北海道に本拠地を移してから15年を記念して制作されたものと聞いていたから、15年間の戦いの軌跡をダイジェスト版に編集したものが映されると予想していたが、案に相違して全編が選手、関係者のインタビューを柱として編集されたものだった。
その内容は、というと…。球団の企業理念する「Sports Community」を掲げて、地域密着を推進し、これまでの既成概念にとらわれない夢を持った挑戦をし続けた結果、現在のような躍進する日本ハムファイターズが誕生したというものだった。その具体的な形が179市町村応援大使の取り組みであり、地方での少年野球教室の開催などだ。
また、「Fan Service 1st」もファイターズの場合は徹底していて、それが多くのファン獲得にも繋がり、パリーグではソフトバンクに続き2番目の観客動員を誇っている。
しかし、それよりなによりプロ野球スポーツであるから勝利することが何より求められている。日本ハムはチーム強化を潤沢な資金に頼っているわけではない。それでもこの15年間に4度のリーグ優勝、2度の日本一に輝いている。そのことについて球界では「スカウティングと育成の日本ハム」と言われている。その球団経営が今脚光を浴びている。そうした球団の考え方や実践を大社元オーナーや球団スタッフが語っている。
数多いインタビューの中で印象的だったのは、やはり日本ハムが生んだ二人のスーパースターであるダルビッシュ有と大谷翔平だった。
特にダルビッシュは、ファイターズがいかに居心地の良い球団だったか、チームメイトが素晴らしかったか、ということを能弁に、しかも本音で語っていたところに、日本ハムファイターズの素晴らしさを見た思いがした。さらに、球団を離れる時「もう日本では真剣に勝負を楽しむことができなくなった」というような趣旨の発言をしていた。実際、私も彼の退団会見でそうしたことを耳にしていた。ところが今回のインタビューで、これまで明らかにしなかった本当のことを語ると言って「自分の給与が高くなりすぎて、他の選手に迷惑をかけたくなかった」ことが大きな要因だと語った。一見クールそうに見えるダメビッシュがファイターズをこよなく愛していることを知って胸が熱くなった。
一方、大谷翔平はあくまでクールだった。2016年のクライマックスシリーズの対ソフトバンク戦でDHで出場していた大谷を栗山監督は最終回にDHを解除して投手として登板させ、その時大谷は165km/hの日本最速をマークして日本シリーズに導いた試合があった。(私はその試合を目撃した)その回顧談になったとき、栗山監督が「翔平は登板したいと目で訴えていた」と語ったのだが、大谷はクールに「栗山監督のカン違いじゃないですか?」
と大谷らしく答えていたところが、いかにも大谷らしかった。
私は格別のファイターズファンだとは思っていない。それでもスポーツの話になると、どのようなスポーツでも興味関心がある。今回の「FIGHTERS THE MOVIE」もフアィターズ躍進の15年を裏側から観ることができた貴重な機会だった。
※ 掲載写真は全てウェブ上から拝借した。