’82年に「TAKURO TOUR 1979」を聴いて、そこにいる拓郎の雄々しさに度肝を抜かれ、そこから拓郎フリークになった私だが、’80~’81年にかけてリリースされていた彼のシングル盤については、どうも「TOUR 1979」の中の拓郎のイメージとはかけ離れていて、なんだか軟弱でつまらないものばかりだと思っていた。
結局、当時の私は、まだコドモだったのである。ある程度色々な経験を経て、年輪を重ねると、この「サマータイムブルースが聴こえる」という楽曲の甘くてほろ苦い切なさが理解できるようになるのだ。
この曲は、シングル盤とその後「王様たちのハイキング」等のライヴ盤に収録されているものとで、かなり歌詞が異なっている。あくまで私の想像だが、拓郎は作詞家の松本隆氏には了承を得ずに、自分の心情にしっくりくるように、勝手に歌詞を変えて唄っていたのではなかろうか。そして、私もこの曲に関してはライヴヴァージョンの方がずっとヨイと思う。
この曲の良さは、一般的にはかなり分かりづらいと思われる。「分かる奴に分かればいいんだヨ」という拓郎流の名曲の一つである。