私が小学校高学年だった1977年頃。
クラス内はいわゆる「スーパーカーブーム」で沸き立っていた。
「スーパーカー消しゴム」なるものを、男子はみんなコレクションしており、BOXYのノック式ボールペンで、それを走らせて距離を競ったりして遊んでいたものだった。
そんなおり、1978年3月にマツダから発表されたのが、「サバンナRX-7」だった。
そのリトラクタブルライトを纏う姿に、クラス内は「日本からもスーパーカーが出た!」と騒然となったものだ。
クルマ好きの小学生だった私は、母親の引率で、友人を引き連れて、マツダのお店にそれを見に行った。
その時に貰った4ページのパンフレットを、ここに紹介しよう。
イメージカラーは、この鮮やかなグリーン。
近年、これに近い色のデミオが街を走っているのをよく見かける。
「ロータリーがデザインした車」・・・
確かに、この低いノーズとリトラクタブルライトは、当時の日本車の中にあって、鮮烈なオーラを放っていた。
前輪車軸後方に積まれるロータリーエンジンにより、マツダはこのクルマを「フロント・ミッドシップ」と定義づけていた。
そしてヘッドライトを上げた時のその姿は、なにかアマガエルのようで、大いに可愛らしい。
スポーツカーでありながら、茶系統基調のインパネとチェック地のシートが、明るく、新しい時代のクルマという雰囲気を醸し出していた。
重量配分は50.7:49.3と、ほぼ理想に近い。
そして「フロント・ミッドシップ」により、「道路にレールを敷いたよう」に走るという。
「ミッドシップでありながらも4人が乗車出来る」と、カタログではそのスペースユーティリティーを謳っている。
ま、厳密には、まごうかたなきFR車なのだが・・・
とはいえ、このグラスハッチを持つキャビンは、当時非常に斬新に見えた。憧れのクルマだった。
あらためてスペックを確認すると、そのタイヤのサイズの小ささに驚く。
それはなんと185/70SR13!
ちなみに現代。ダイハツ・コペンの履くシューズは、165/50R15である。
このクルマは、私に大いなる夢を見せてくれたクルマの一つである。
私が免許を取った昭和の終わり頃には、それはまだ現役バリバリで走っており、中古で購入可能であった。
RX-8は欧州での販売から撤退するという。
ロータリーエンジンは、今後どうなってしまうのだろう。
今にして思えば、若いうちにこのクルマを購入して、もっと冒険すべきだったのかもしれない。
いや、まだ、間に合うかもしれない。