早いもので、BR/BMレガシィが登場してからほぼ3年が経過し、恒例のビッグマイナーチェンジが施された。
今回、新たに登場した2.0Lボクサー直噴ツインスクロールターボエンジンを搭載した「2.0GT DIT」(CVT:税込車両本体価格359万1000円)に試乗させていただくことができた。
目ヂカラが増した感じのヘッドランプ。スバルの新しいアイデンティティである、インプレッサと共通デザインのフロントグリル。その顔つきはキリッと精悍で、結構ハンサムになった。
メーターパネルは、文字の字体デザインや細かく切られたスケール等、大幅に質感を向上。
3.5インチのカラー液晶ディスプレイが中央に配置され、現代のクルマらしくなった。
また、要注目は、「水温計」(左端)が復活したこと!近年略される傾向の強いこの計器。これが復活したことの背景は、おそらくはコアなスバリストからの要望が多くスバルに寄せられ、それにスバルが応えた形なのだろうと想像する。
従来シフトノブ後方に配されていた「SI-DRIVE」は、ステアリングホイール内に移された。クルーズコントロールも、全グレードに標準装備となったようである。
そして、従来インパネ右下方にあった「電動パーキングブレーキ」のスイッチが、シフトノブ後方に移動。この位置の方が操作ロジックとして自然であることは間違いない。実質的な、良い改良だと思う。
さて、いよいよ走らせてみる。BRZのすぐ後に乗ったせいもあってか、エンジン音やロードノイズ等が遮断され、圧倒的な静粛性に驚く。とても300PSを発揮するエンジンを積むモンスターとは思えない。
だが、多めにスロットルを開けると、まるで航空機が離陸する時のような、ものすごい加速をする。それを決して暴力的ではなく、なにかスルスルと涼しげにやってのけてしまうのだ。
「高トルク対応リニアトロニック」と称されるCVT。加速のダイレクト感はもとより、アクセルオフ時の減速感も自然で、素晴らしいトランスミッションだ。今回ついに 「長いレガシィの歴史から、MT車が消滅してしまった」が、それも受け入れざるを得ないのかもしれない・・・
ブルーのステッチが施されたインテリアと相まって、このクルマが全体から醸し出す雰囲気は、極めてジェントルである。「While My Guitar Gently Weeps」が、思わず脳裏に浮かぶ。
レガシィ2.0GT DIT。実に「いいモノ感」に溢れ、欧州プレミアムカーに迫る、素晴らしいクルマである。350万円オーバーと、なかなか高価なクルマだが、それだけの大枚を支払う価値はあると思われる。
なお、このグレードの「EyeSight搭載車」は本年9月発売予定とのこと。どうせだったら、一緒に出してほしかったなぁ・・・
スバルのディーラーさんより、BRZの試乗車が入庫したとの吉報が届いた。
すぐさま試乗日時の予約をし、本日10時に尾車氏・ニータ氏とともに、そのディーラーさんへ。
対面したBRZは、兄弟車の86よりも、どことなくキリッと精悍な表情に見える。
コンパクトながらも、なかなかエモーショナルな造形のエクステリア。
私がこのクルマの弱点だと思うのが、ややあっさりとしたメーターパネルである。
タコメーターが真ん中にあるのはスポーツカーらしい演出ではあるが、3連メーターの全体の質感が、今一つであるように思える。オドとトリップが同時表示式でないことも、不満だ。
試乗させていただいたのは、中間グレードの「R」(6MT:税込車両本体価格247万8000円)だった。
レスポンス鋭いフラットフォー2.0DOHCエンジン。鼓動、いや、咆哮のように響くエキゾーストノートが、スポーツ心を昂ぶらせる。重めのステアリングは、人車一体感を手のひらから伝えてくれる。MT車のパワステは、電動式ではなく油圧式なのだ。
ドライバーズシートからはっきりと見えるボンネットの稜線に加え、全方位に渡って視界良好なのも、このクルマの大きな美点。固めながらも、しなやかさとフラット感を残す脚回りは、スバル車に共通の味わいである。
巷では、BRZと86では脚回りのセッティングが若干異なり、「BRZの方が若干フロントが固めでスタビリティ重視」だと言われている。その辺の違いは、素人ドライバーの私には、まったく分かりませんでした。
86とBRZは、「企画とデザインはトヨタ・設計と生産はスバル」という棲み分けで産まれたクルマなのだという。
このクルマは、絶対に、スバル単独では世に出ることは出来なかったと思われる。トヨタとの提携があったからこそ、日の目を見ることが出来たのだ。
スバルがトヨタと提携したことで、失ったモノも少なからずあったが、得たものも小さくはなかった。BRZというクルマの登場を、私は大いに賞賛する。