新型ルーテシアを確認したいという尾車氏の進言を受け、我々取材班3名は、ルノーのお店に向かった。
まずは、マイナーチェンジした「カングー」を見学。
今後は、このフロントマスクが、ルノー車のファミリーフェイスとなるのだろう。
ボンネットの形状に手を入れたことで、日本独自の変な法規をパスし、あの無骨なキノコミラーが消え去った。これは、大きな福音である。
その一方で、日本仕様のトランスミッションは、5MTが廃止され、4ATのみとなってしまった。これは、大きな退歩だと言えましょう。無念・・・
さて、新型ルーテシアである。ジョン・エクレールという名のレモンイエローのボディカラーが、目に眩しい。
剥きたてのゆで卵のような、つるんとしたフロント・ビューも、これまた印象的。
試乗させていただいたのは「インテンス」(6EDC:税込車両本体価格238万円)だった。
小排気量ターボエンジンに、デュアルクラッチトランスミッションとの組み合わせ。VWが産みだした世界の潮流である。
シフトアップに関しては、人間よりも、はるかに上手にそれをこなす。が、VWのDSGのような切れ味には、やや欠けるかも。
シフトダウンに関しては・・・シフトダウンしてたのか、それともしてなかったのか、今回の試乗では、正直言ってよくわからなかった(^_^;)
ウエストラインが高めでリヤウインドウが小さいため、このクルマも、斜め後方視界は良くない。
ボディ剛性を安価で確保するための方策なのか、衝突安全に対応するためにそうなってしまったのか・・・近年登場するクルマは、視界についてはおろそかになっているものが多いような気がする。
ライドフィールに関しては、しっとりとしなやかな粘り腰と言った感じで、フランスのエスプリを感じさせるものだ。
プジョー208同様に、計器盤の中央にデジタル式のスピードメーターがある。これは非常に見やすく、実用上もデザイン上も、なかなか良い。今後の流行になるような予感がする。
アナログメーターの黄色い指針も、ルノー車に乗っていることを感じさせる粋な演出だ。
そこここに散りばめられたピアノブラックの加飾が、美しい。昨今のフランス車のインテリアは、デザインも、「見た目質感」も、なかなか素晴らしいと思う。
実際には、ドアサイドパネルを指で叩くと、コンコンとプラスティッキーな音が響いたりする。まぁ、そこはご愛嬌。私は、そんなことには目くじらを立てない。
だが、ステアリングホイールのデザインについては、苦言を呈したい。せっかくの革巻なのに、肝心の「普段手に触れる部分」に、ピアノブラックの加飾を施してしまったのは、本末転倒だ。私のように手に汗をかきやすいドライバーだと、この部分がぬるぬるになって、不快きわまりない。9時15分の部分にも、革を巻いてほしい。それが私の、切実な願いである。
私がいつもチェックするスペアタイヤは、当然ながら標準装備。偉い。フランスの方々は、分かっていらっしゃる。
だが、リヤシートを倒した際に大きな段差ができてしまうのは、残念な部分ではある。この辺は、ホンダのフィットを見習ってほしい。
新型ルーテシア。エクステリアも、インテリアも、デザイナーの存在を感じさせ、非常に魅力的なクルマだ。
しかも、一番安いモデルは199万8000円から!
このルーテシアはもとより、プジョー208も、シトローエンC3も、底辺モデルはおおよそ200万円のプライス。
昔と比べたら、現代のフランス車は、上質で、なおかつ買いやすくなった。
今度は妻子を連れて、ディーラさんを訪れることにしよう。うん、そうしよう。