オーリスに試乗させていただいた後。
我々取材班2名は札幌市清田区の「インポートプラス」へと向かった。
私がステアリングを握らせていただいたのは、ジープブランドの底辺を担う「レネゲード」である。
グレードは「Openinng Edition」(税込車両本体価格297万円)。
140psを発揮する「1.4リッター 直列4気筒 マルチエア 16バルブ イ ンタークーラー付ターボエンジン」を積む、FF車。
カタログ上のJC08モード燃費は15.5km/Lと、決して悪くないというか、なかなか良い。
カジュアル感とワイルド感が程よく同居した、キャッチーなインテリア。
ステアリングはどっしりと真ん中に据わっており、コテコテのSUV風なルックスとは裏腹に、直進性良好である。
ただし、足回りのセッティング自体は、前後左右のGにゆらりと反応するタイプのモノ。
「踏力ではなく、ストロークで効かせる」タイプのブレーキも、慣れるまでは扱いづらいというのが、私の率直な感想である。
どうも、いわゆる、「カックンブレーキ」になってしまうのだ。
とはいえ、エンジンパワーに痛痒を感じることは無く、「6速デュアルクラッチAT」の振る舞いも悪くない。
シート表面は低反発枕のように張りがあり、面で体をしっかりと支えてくれる。
全体的には、アメリカ車(クライスラー)というよりは、欧州車(フィアット)の匂いを、より強く感じる。
ただし、SUV風味のルックスでありながら「スペアタイヤレス」である部分については、個人的マイナスポイント。
なお、カタログによると、このクルマの最上級グレードである「Trailhawk」には、フルサイズのスペアタイヤが装着されている模様である。
カジュアル感とワイルド感が程よくミックスされた、ジープ・レネゲード。
ボディカラーやシートカラーの設定も幅広く、「若々しいもの」も「シックなもの」も選べる。
そしてそれは、このクルマを購入する際に、きっと「愉しい悩み」となることであろう。
アラフォーあるいはアラフィフの女性がこのクルマに乗っていたなら、私はもう、イチコロだ。是非、乗ってほしい。
そして、同行の尾車氏が試乗車としてチョイスしたのは、先日発表されたばかりの「フィアット500X」。
グレードは4WDの「Cross Plus」(税込全国メーカー希望小売価格334万8000円)だった。
実車はかなり大きく、このクルマが「チンクエチェント」名で売られることに、若干の違和感を感じる。
まあ、「ミニ・クロスオーバー」も、かなりデカいのだが、このクルマはそれよりもさらにデカく見える。
アルミホイールのデザインは、クロスオーバーイレブンな感じで、なかなか良い。
インパネ周辺は、ポップでありながらも、なにか骨太感を感じさせる。
実はこのクルマ。私が乗せていただいた「ジープ・レネゲード」と非常に近い関係にあるとのこと。
エンジンはレネゲードと共通の「1.4リッター 直列4気筒 マルチエア 16バルブ イ ンタークーラー付ターボエンジン」である。
ただし、4WDであるこのモデルのトランスミッションは、「トルコン式の9速AT」が採用されている。
それゆえか、尾車氏曰く、ブレーキには特に違和感を感じなかったとのこと。
セースルマン氏によると、「トルコンによって前に進もうとする力が働く」ので、それが制動力と打ち消し合って、「カックンブレーキ」にならないのではないか・・・との見解であった。
基本パーツを共有しながらも、見た目も乗り味も相当違う、この2台。
クルマという工業製品は、やはり生き物のようで、面白い。