今回の「VWディーゼル排ガス規制逃れソフト導入事件」には、真底驚いた。
ドラえもんに例えるならば、「しずかちゃんの好成績が実はカンニングによるものだった」と同じくらいのレベルの、信じられない衝撃を、私に与えてくれた。
WEB上では、この問題はVWという企業自体の存続にかかわる可能性もあると、ささやかれているようだ。
日本国内に、該当する「偽装車」は正規販売されていないとはいうものの、そのブランドイメージは大きく傷ついてしまった。
一番かわいそうなのは、実際にディーラーでこのクルマを売ったり、工場で修理したりしている、「悪意なき社員の方々達」である。
VW首脳陣には、全世界のVW車ユーザーやVW社員たちが、納得し安心できるよう、この問題を早期解決してほしい。
そんな逆風吹くVWだが、私にとって魅惑的なクルマを、ラインナップに加えてくれた。
それは「フルタイム4WD+TSIエンジン搭載」のステーションワゴン「ゴルフAlltrack」。
試乗させていただいたのは、「TSI 4MOTION Upgrade Package」である。
税込車両本体価格367万円と、レヴォーグやアウトバックとオーバーラップするお値段の、このクルマ。
「1.8リッター直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボエンジン」の最高出力/最大トルクは180PS/28.6kgm。
ハイオクガソリン仕様で、JC08モード燃費は14.7km/Lである。
目盛が緻密な2連メーター。
黒を基調に、ところどころにあしらうシルバーがきらめく、品質感高いインパネ。
メーターパネル中央の「マルチファンクションメーター」には、現在走っている道路の通称名(たとえば「札幌新道」とか)を、漢字で表示してくれる。
ロードノイズは若干高めに感じられたものの、ドイツ車らしく確かな直進安定性。
ステアリングフィールは、たとえばBMWのように「直進方向にずっしりと据わっている」というほどではないものの、しっとりとした安心感がある。
そして、エンジンをハミングのように歌わせながら、軽やかにシフトチェンジをこなす、6速DSG。
視界良好で、車両感覚を掴みやすい、そのボディデザイン。
まるで「出木杉くん」のように非の打ちどころはなく、そして、ユーモアには欠ける。
このクルマにも、注文を付けたい点が、1点だけあった。
それは、「スペアタイヤ」を省略し、「タイヤ応急修理セット」に置き換えてしまったことである。
今まで、VW車は、それを積んでくれていたのに・・・ラゲッジルーム下のぽっかりと空いたスペースが、なんとも悲しい。
今回尾車氏が発見したのが、金平糖型になっているホイールナットの形状だ。
タイヤ&ホイール泥棒が多発している、この物騒な世の中。
これは専用工具でないと外せないだろうし、防盗性向上に大きく寄与するのかもしれない。
ともあれ、「ゴルフAlltrack」は、やはり優秀なクルマであった。
スバルにとって、このクルマは、大いなる脅威だ。
今後、色々な意味で、VWからは目が離せない。