研究会のあと、星ヶ丘「しき」で懇親会。大皿料理など、いろいろとリーズナブルなお値段で。
久しぶりだったけれど、おいしゅうございました。
アンドリュー・パーカー、2006、『眼の誕生:カンブリア紀大進化の謎を解く』、草思社
5億4千年前のカンブリア紀における動物の多様性の「大爆発」のなぞを解こうと言う一書。
先カンブリア紀においてはその多様性に眼を見張るものもなかったが、カンブリア紀になって一気に現生種が属する動物門を含む多種多様な動物たちが誕生する。エディアカラやバージェスその他の地から発掘された多様な生物の化石についてはS.グールドの「ワンダフル・ライフ」が生き生きと描いていたのだが、なぜ、その多様性が生まれたかは明快な説明はなかった。
著者は、この点について、地球環境の変化とともに地上、さらには当時の浅海にまで到達する太陽光を積極活用することの有利さが生まれ、光受容体である眼を持つ動物と持たない動物同士の捕食関係が種の多様性を帰結したと説明する。優れた眼を持つ動物は捕食のために有利であろうし、一方、捕食動物から逃れるために、より優れた眼を持ったり、あるいは逆に、眼の機能を利用して保護色を用いたり、擬態をもちいたり、また、運動能力を向上させて逃げ失せたり、眼以外のさまざまな機能についても、「眼の誕生」によって進化ドライブが強くかかり、その結果として、多様性の爆発が生まれたと言うのである。
生命史のおさらいや眼の機能、光と動物との関係など、論理の積み上げが続くので、いささか、読み疲れてくる部分がなくはなかったが、それでも、意外性があって大変興味深い一書だった。原題の「In the Blink of an Eye」と言うのも、本書の内容に照らしてよろしいと思う。まあ、「眼の瞬き」という邦題だと何のことかよくわからなくなるから、「眼の誕生」でいいのだけれど。
2006-07-22 09:51:15 |
読書 |
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