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4つの定理で乗り越える

2010年05月21日 | 読書
 『ウェブ時代 5つの定理』(梅田望夫著 文藝春秋)
  
 著者の書いた新書は読んだことがあるし、雑誌記事なども目にしたことがある。現代社会のトップランナーの一人とも言うべき人物だと思う。

 ネット時代の聖地ともいうべきシリコンバレーがどんな場所なのか自分の頭では想像がおよばない。しかし、そこで語られること、つまりこの本で語られていることは、多くの仕事で生き抜くために当てはまるように思われる。
 第5定理として題された「大人の流儀」はともかく、1~4まではまさしくキーワードと言えるだろう。

 1 アントレプレナーシップ
 2 チーム力
 3 技術者の眼
 4 グーグリネス
 
 1は、普通「起業家精神」と訳されているそうだが、著者はニュアンスとして近いのは「進取の気性に富む」だという。

 2で特に心に残ったのは、よく強調される「マネジメント重視」ということでなく、それよりも「行動重視」であると言い切った点だ。

 3は、対象に対する愛着や追求の大切さを教えてくれる。技術者として掘り下げていく中で様々な提案が出来れば、世の中を変えられるという信念だ。このあたりはテクノロジーの進歩が社会変化に直接結びつくという強みがあるのだと思う。
 では「教育技術者」の眼とはなんだろうとふと考える。

 4は、よく書かれていることだが「邪悪であってはいけない」ということだ。これが第一倫理でなければどうしようもない時代に生きていることを痛切に感じさせられる。

 さて、5には様々なことが書かれているが、一番興味をひいたのは「日本語圏特有の匿名文化」ということ。著者はこんな心配もしている。

 さまざまな「良きもの」が英語圏ネットや空間では開花しても日本語圏では開花しないのではないか

 「匿名性の方向に偏った文化」は様々な弊害を生み出している。
 そしてネットの危険性ばかりが拡大して規制をかける傾向が強まっている。消費対象に年齢制限をかけない商業ベースがあり、それに対して様々な策が提案されているとはいえ、共通意志を形成できない日本社会の脆さが見え隠れする。

 上記4つの定理で乗り越えなければならないことの一つである。