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桜と絵本と豆乳と

イトイさんも言いますねぇ

2010年05月10日 | 読書
 『イチローに糸井重里が聞く』(「キャッチボール製作委員会 朝日文庫」
 
 上手い作り方の本だと思う。

 特徴その1 
 欄外の注釈(というより、というより関連づけているイチローの発言など)が非常に多い。45項目。しかもそれ一つ一つに読み応えがある分量。

 特徴その2
 インタビュー紙面の後で、振り返りともいうべき「語録」を載せている。いかにも糸井的である(本の構成は違うかもしれないが)。数はもちろん51。

 そうは言いながら、やはり糸井の絶妙な問い、そして対応が今までのイチローへのインタビュー記事などと一線を画しているように思う。

 こんなやりとりが載ったのは初めて見たし、自分もかつてそんなふうにイチローを見たことがあると思い出した。

 糸 井  イチローさんは、人に訊ねたことってありますか?
 イチロー ないんですよ。
 糸 井  それは、まだ人間ができていないんでしょうか?
 イチロー うーん。まあ、そういうことでしょうかね…イトイさんも、言いますねぇ(笑)

 このインタビューは6年前のもので、それから個人記録更新やWBC連覇など大きい出来事があった。限られた報道の中でしか感じることはできないが、当時とまた微妙な変化もあるように思う。
 ただ一つ一つの喜怒哀楽がクローズアップされるヒーローだけに、頑なにならざるを得ない実情は変わっていないようだ。

 それにしても、イチローの裏声による感動表現?が見られるあの「一番絞り」のCMはあっという間に消えてしまったのは何故?。