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サボリ方の哲学

2010年05月17日 | 読書
 『いきいき教師の仕事術~仕事サボリの教職学~』(家本芳郎著 学事出版)

 ちょっと物騒な?副題がついているが、内容には納得できる。
 もう二十年近く前の書籍である。
 しかし十分に今でも通用する。いや逆に今だからこそ、という部分も大きい。

 家本先生は、多忙化する現状に対する教師の仕事について、自分なりのルールを三つ作ったと書いてある。

 第一に、ただ働きはしない。
 第二に、自分や自分の生活を損なうことはやらない。
 第三に、子ども(生徒)のためにならないことはやらない。
 
 この三つを別個に見ていくか、連続的に見ていくか…なかなか面白い。

 私たちの仕事の一つ一つに対して、チェック項目としてこの三つを当てはめてみる考え方がある。
 また、三つをつなげて考えてみることもできる。表現としては、ただ働きをすることは自分や自分の生活を損なうし、そのことは子ども(生徒)のためにならない、という考え方だ。

 自己の現状に照らし合わせるとすれば、いずれにしても仕事観や教育観をはっきりさせていなければ、戸惑ってしまうに違いない。その意味では厳しい書とも言える。

 ただ、実際場面での考え方の柔軟さや実用的な面においても、さすが「家本本」(自分で名づけてみた)である。
 齋藤孝本で有名になった「換骨奪胎」の思考。さらに「スケール」をキーワードとした行動の適用、そして日常の細々とした仕事術の数々…学ぶ価値が高い。

 目指すものは「いきいき教師」だろうし、そのための合法的なサボリ(表現としてどうなのかとは思いつつ)についてあれこれ考えることは必要なことだし、また楽しんでもみたい。