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「ください」は命令形なのだと

2010年09月13日 | 読書
 『日本語の作法』(外山滋比古著 新潮文庫)
 
 筆者の文章には時々どきっとさせられる。

 だいたい「ください」が多すぎる。「ください」は命令形であって、目上の人には使えない。対等の間柄でも強すぎることがある。
 
 「ください」は命令形か…そんな意識はあまりなかったな。保護者や地域向けの文章を書くときでも「~~お願いいたします」という語尾が重なるのを避けるために、結構「~~ください」を使用している。
 そこにはお願いの意味しかなかったのだが、誤用なのかなあ。誤用ではないにしても、ふさわしくはないのだろうか。

 辞典を調べてみると、確かに「くださるの命令形」とある。
 「くださる→くだされ→ください」という流れの変化である。
 また類語辞典をみると「くれ」の丁寧な言い方、「くれる」の尊敬語という記述も見られる。

 語意は「相手に何かを要求・依頼する意を表す」で、記述として「請い求める」「懇願」「要望」という表現もある。
 こうした解釈によれば、保護者向けなどの文書に使うことは間違いとは言えないと思うのだが、結局根本にある「くれ」という願い方が、少し丁寧さを欠くことは確かなので、そこから受け取られる可能性はあるわけだ。
 
 このような文章がある。

 「お待ちください」と言いつけられるより「お待ち願います」くらいにしてもらった方が落ち着く。
 
 受けとめる側として、「言いつけられた」感覚になるかならないかが分かれ目なのか。

 それにしても、筆者によると、こどもに対しての言い方であっても「提出してください」は命令形だから敬遠されているという。
 私ならば、「ください」と懇願するような言い方を教師が頻繁にするべきでないから、控えるようにと考えている。

 使用基準がずいぶんとかけ離れているものだ。

 迷いが増した読書になったが、ただ「ください」で大方済まそうとする意識には、チェックをかけることができたのは収穫だ。喜んでください。(って誰に、どんな気持ちで言っているのかね)