すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

続「やまなし」モード

2010年10月06日 | 教育ノート
 いくつか頭に浮かんだ事を覚え書きとして記しておこう。

 まず、なんといっても「音読」は大切である。1時間だったら音読だけでやる。「教科書教材をすらすら読める」ということは学力の基礎になることである。
 そうすれば、3時間を音読だけで費やすこともできるか。いくらか「工夫」という視点をいれれば、それも可能だ。しかし、少し半端な気がする。おそらくは会話文を中心に分担する活動を取り入れるだろうが、心情が見えにくいという点もある。

 「やまなし…ここがわからん」という形で、疑問、感想などを書かせてからスタートしたことがあった。以前だったら常道だろう。比較的学習課題を作り上げやすいという印象もある。「造語」「対比」「題名」「会話」…ある程度、こちらの予想した範疇で進む。

 これを使えば、「『やまなし』の謎」といった組み方も楽しい。たくさんの謎を出させ、その中から全体で検討すべき謎を取り上げる。また、そこに物語を読むためのいくつかの視点が提示できるように思う。
 しかし、そのためには圧倒的に時間が足りない。

 2回ほど取り組んだ「イメージ視写」はどうだ。いや、これはある程度読みとったまとめとして表現してみる方法だし、活動として子どもは好むかもしれないが、言語活動としてのねらいが少し拡散的だ。

 3時間の庭野実践は、黙読を使っての発問中心の展開である。記録にある発問は全部で19。軽重があるし、私なりに主なものを順に拾ってみると、こうなる。

・「五月」と「十二月」と比べて、どちらが暗い感じがしますか
・(魚は悪いことをしたか)、なぜ悪くないと考えたか、説明しなさい。
・(五月)「こわい所」とは一体どこですか。
・「五月」と「十二月」を比べて、違いをたくさん見つけてください
・「五月」と「十二月」を比べて、似ていることを見つけなさい

 第2時では、単元の中でそれまで読んだ賢治作品との共通点を探る箇所もあり、単発ではやはり無理が生ずるだろう。
 しかし、対比的な見方は取り扱いたい内容であることは間違いない。

 「難教材」という言い方がある。
 自分もかつてそう書いた。
 それは「詳細な読みとり」を求めたときに、文体や言葉の特殊性、手がかりの少なさなどから生ずるのだろうが、現に6年生の教材として長く掲載されてきたこの作品に対して、迷惑な評価なのではないだろうか。

 一読してわかることも結構ある。作品の魅力に触れさせながら、この教材だからうまく使いこなせる言語技術を身につけさせることはできるはずである。

 では、何から…。