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桜と絵本と豆乳と

「サラ川」教育篇

2010年10月26日 | 読書
 『「サラ川」傑作選~はらはちぶ』(講談社)

 かつてのような勢い?はなくなったようだが、毎年傑作選として発刊されているようである。
 のんびりと風呂につかりながらめくるのには最適である。

 単純にいえば、会社生活、家庭生活の愚痴を定型化しているわけで、どうということもないが、鋭く一面をついていることは確かだ。昨晩もテレビニュースをみながら、若者の職への定着率が悪いことの話題で、サラ川でいつか見た句がふっと口をついて出て家族と一緒に肯き合った。

 石の上三年経てば次の石  

 会社・家庭が主たるテーマだけれど、まれに子育てや学校のことが出てくるのではないかと思って、調べてみた。
 「傑作選」とは、いわゆるベストテンとして、選者の二人が選んだ句と全国投票で上位に入った句である。
 たしかに数は少なかったが、なかなか面白い。

H3 親の希望(ゆめ)つぎつぎ消して子は育つ
H4 かわいい子旅をさせたが帰らない
H8 あれ程に塾に通って普通の子
H10 ポケモンの名前おぼえて九九いえず
H14 教室じゃ机に座るジベタリアン
H17 教育費かけた頃には夢があり
H19 登校をしぶる息子は現役教師
H19 子よりまず親に教育基本法
 
 さすがに20年近い歴史がある。教育関係?もなんだかその変遷が見える。

 もちろん基本形は「失望」だが、初めの頃は少し余裕を感じさせる。まあそんなものだろうよ…といった言葉もかけることができそうだが、中頃になるとあきらめ方が具体的で立ち直れるのかこれは?といったふうになる。
 そして、最近はもはや「絶望」に近くなるといったニュアンスか。


 さて、購読している教育雑誌が、「教師川柳」なるコーナーを始めて、栄えある?第1回大賞が決まった。

 まだ四十とびばこ落ちてもう四十

 なかなかの出来である。
 小学校教員の一つの峠を象徴する切りとりかたと言えまいか。
 「サラ川」を越えられるか、成り行きが注目される(誰が?)。