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チャリーンと音を立てる言葉

2010年11月22日 | 読書
 『子育て貯金箱』(伊藤善重著 新風舎) 

 いいタイトルである。
 子育てに関する言葉を「貯金」している感じでメモを続けている身としては、実に心強い。そして、またこの本にはチャリーンと音を立てて、中に入れたい言葉が随所にある。

 序章は「教育の目的」である。

 大上段に構えて毎日を生きている訳ではないが、肝心なことは時々問いかけねばならない。
 おびただしい出版物、公的な書類には本当にたくさんの立派な「目的・目標」が言語化されているが、では具体的にはどうなんだと問いかけられると、ずばりと言い切れるものか。
 その面で、このフレーズの気持ちの良さ、爽快さは格別である。

 極論すれば、役立つ人になりたいと生徒が思えばその教育は成功であり、その自覚がもてない教育は失敗である。

 自活力、自立は、そのために身につけるものだと言いきっている。
 そしてその目で現在の教科書を見ると、「目的が霞んでいます」とも書いている。
 確かに福祉やボランティアのことが大きく取り扱われてはきたが、どこか表層的な印象を持つ。

 ここにも痛快な言葉がある。こんなふうに「評価基準」を使った文は初めて見た気がする。

 教育の評価基準は、人が三十才でどれだけの生活力を持ち、生き甲斐をもって生活するかに尽きます。
 
 今、三十才をどのように評価するか。
 社会環境という条件をひとまず横に置いて、教育の評価としてどうなのかと冷静に見渡すことも意義があろう。
 受け持った一人一人に訊いてみたい気持ちがわいてくる。