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最高の誉め言葉に近づく本

2011年03月01日 | 読書
 小学校教師に対する子どもからの最高の誉め言葉は、「受け持ちの先生はどんな先生?」と訊かれた時に、こんな答が返ってくることだと、いつからか思っていた。

 「きびしいけど、やさしいよ」

 数人の先輩教師を思い出すことができる。自分は残念ながらそこまでたどり着けなかった。

 野中信行先生より新刊『新卒教師時代を生き抜く 学級づくり3原則』(明治図書)を贈っていただいた。

 この本には、二つの要素「きびしさ」と「やさしさ」の具体的な中味が書かれていると言ってもよくないだろうか。
 徹底するべきことと意欲づけること、そんなふうに言い換えてもいい。

 「日直」「当番」「清掃」「給食」…と、今どきの小学生にその意味づけと手順を徹底していくことは根気がいることである。
 言葉を選びぬく余裕のないまま、何度も繰り返す事態も出てくる。そこを踏ん張れるか。いや踏ん張ることが「仕事」だと教えてくれる本である。
 実は、きびしさは子どもより自分に向けられる。

 いつ誉めればいいか、いつ励ませばいいか、そんなことも教えられる本である。
 やさしさが力を持つためには、方法とタイミングを学ばねばならない。百パーセントの方法はないのだが、子どもの心を揺さぶる言葉かけや態度には共通する思想が流れていると思う。
 きっと「あなたを見ています」というサインである。具体的な事項はこの本からいくつも拾い出せる。
 目の前の子どもと照らし合わせながら、自分のやさしさを形にしたい。

 今までの著書より、ずいぶんと構成が行き届いた内容となっている。
 特に初任者の実践例を踏まえた「実践の解説と応用のヒント」が面白い。
 初任者だとすぐには読みとれないかもしれないが、そこに記されている実践(実戦)的な部分が、かなり役立つ。教師の働きかけにおいては普遍的な解も大きいが、特殊解が占める部分を見過ごしてはいけない。