すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

横たわって考えた横の正体

2013年08月11日 | 雑記帳
 なかなか寝付けない夜半に,ふと頭に浮かんだ「下手の横好き」という慣用句。まあそんな趣味をいろいろ持っているなあ自分は…という思いが種になっているのだろうが,その芽がこんなふうに巡る。「横好き」って何だ。「横」はいい意味ではないのだな。だって横やり,横恋慕,横しま…。いったい横の正体は?


 寝ぼけたような頭で起きてから,辞典で調べてみる。広辞苑では「⑤正しくないこと。また無理にすること」の意味がある。古語辞典でも同様だ。明鏡には「見当外れで無関係な(また道理に合わない)方向や場所」という意味もある。可哀相な字である。これは対語である「たて」を調べてみる必要があるだろう。


 「たて」は広辞苑では「縦・竪・経」という見出しである。いかにも強い,正義というイメージである。当然「方向」を表す意味が主であるが,⑤⑥として次の言葉が…「時間の流れに沿った面」「年齢・身分の上下の関係」。つまり横はそれに棹差す存在ということか。この国の歴史的な感覚でいつも虐げられる。


 救いはないかと字源を探ってみる。木偏に「黄」である。形声だけでなく会意という線もありそうだぞと予想する。そもそも「黄」は光系の字であるはずだ。調べると「火をつけた矢」そこから「光が四方に広がる」という意味を持つ。木偏と組み合わせて「中心から四方に向けて広がったよこ木」という解釈になる。


 少しいいイメージで終われそうだと一瞬思ったが,その後に続く文はこうだ。「また,かってに広がる意味も表す」。ははあん,ここらあたりがポイントだな。広がることを「かって」と思われるかそうでないか。横ばかり向いていては駄目,縦も見極めて,斜めにも気を配る。それをできないことを「横行」という。