すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

お盆に「もてなす」を考える

2013年08月13日 | 雑記帳
 通勤途中で聴くラジオで、ある缶コーヒーのCMが流れていた。宇宙人ジョーンズが登場する例のアレである。
 結構長めのCMでストーリーがわかるようになっている。

 先日はなかなかのユーモアバージョンで、思わず笑った。
 たしか旅館か何かの接客が設定で「おもてなし」の大切さについて話した後、ジョーンズがお客とやり取りしている時に、客がこんなオチをつけた。

 「『おもてなし』っていうことは、『ウラはある』ってことかな」

 うーん、巧い。座布団2枚である。

 この洒落は解説するまでもないが、あれっ「おもてなし→『表』じゃない→『もてなし』だろう→『もてなす』って何?」と追究モードに入った。

 愛用の『日本 語源辞典』の「もてなす」には次のように書かれてある。

 【他四】もてはやす。大切にする。馳走する。饗応する。世話をする。おもてなし。

 最初に「もてはやす」があるのはちょっと現代の感覚にはそぐわないイメージをもってしまう。次の項の「もてはやす」は以下の通りの意味である。

 【他四】持て囃す・持て映やす=盛んにほめたてる。ほめそやす。歓待する。厚遇する。大切にする。もてなす。

 となると、「もてなす」と「もてはやす」は兄弟のような関係といっていいか。弟はちょっとお世辞が上手である、というような…

 さて、もう一つ意味のなかに「おもてなし」そのものが書いてあることも少しひっかかる。
 大体その語で辞書に載っているのか。

 電子辞書の「見出し語検索」(複数辞書に適応する)で打ってみると…あった!ただし「日本語大シソーラス」という類語辞典だった。まあ、これは予想通りである。

 「もてなす」の「語源」は次のように書かれている。

 持つ・成すの二語からなることば。持つは、取り持つ、取り扱うという意。成すは、為すで、動く、行動する。

 つまりは「取り扱いの行動」である。
 そこに他者に対する歓迎の意味を込めたところに日本人の精神性がある。
 今ふうにいうとホスピタリティーか。
 なるほど、ひとまず解決。

 ところで、「もてなす」「もてはやす」の次が「もてる」という語なのだか、この語源はちょいとした薀蓄になるかもしれない。

 もてるは、「持つ」ということばから派生した動詞。
 持つことができるの意を踏まえて、江戸の遊里から使われたことばという。


 何を持つことができたのか。
 アレか、ソレか、それともナニか。
 いずれにしても縁遠い。