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「しっかりしないと大変」の行方

2013年08月16日 | 雑記帳
 いつものようにyahooのトップページを見たら,終戦記念日にちなんだ企画があった。「日記で知る『子どもたちが見た太平洋戦争』」というページに入ってみる。こうした資料を見ると職業意識が出てしまい,どうしても教師の朱書きに目がいってしまう。何気なく見えるコメントに,ほほお,ううむと思った。


 12月8日の開戦を伝える「ニュウス」を聞いた子の日記に対して,担任教師が入れた赤ペンは「しっかりしないとたいへん」。そうとしか書きようのない一言である。その女教師(たぶん)がどんな境遇にありどんな考えを持っていたか想像できないけれど,しっかりしないと大変という心は万民共通だったろう。


 終戦の日の日記。文章に添えられたカップとビスケット?の絵に「今日の繪としてはいけませんね。もっと他にかくものがあったはずね」というコメント。敗戦に涙し,日本の立て直しを心に誓った子が,そのあと案外淡々とした暮らしを綴った子の気持ちがなんとなく理解できるし,返答する側の心も想像できる。


 開戦,敗戦,その両日の日記もコメントも同一人物ではない。ただそれを比較し想像してみると興味深い。誰もが持っていた「しっかりしないと大変」の行方は大人の見え方を狭くしてしまったが,子どもは坦々と時代を生き抜いている。それは未熟のたくましさであり,途上の輝きか。厳しい時代ゆえ育まれた。