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続・桃太郎と私

2016年01月26日 | 雑記帳
 宮川俊彦著『桃太郎はいじめられっ子?』という本を再読していて、「桃太郎」は結構取り上げたことを思い出していたら、やはり「桃太郎と私」という奇妙な題名をつけて、ブログにも書き散らしていた。それを読みながら、一つ大事なことを忘れていることに気づいた。教科実践の一つとして、やったではないか。


 全国的に有名なのは「向山型国語」の要約指導ということになる。もちろん及びもつかないが、「なりきりインタビュー」という設定で記者会見のような形で、桃太郎に質問させる活動を開発したことがあった。発展としておじいさん、おばあん、鬼なども取り上げられるので、なかなか発展性のあるネタだったと思う。


 今、この『桃太郎はいじめられっ子?』を改めて読み、さらに面白い展開が思いつく。私が当初発表したのは中学年を対象として、まあ言うなれば「勧善懲悪」的なストーリーを脚色していくような流れで考えていた。つまり鬼退治の理由は、鬼を懲らしめ村人の平和を守るという類である。しかし、もっと深くなる。


 例えば、それをインタビューの質問の形で文章化してみると「桃太郎さんの小さかった頃の思い出は何ですか」「鬼退治にいくとき、どうして村の人たちは見送りにこなかったのですか」「持ち返った財宝はどうしましたか」と一見単純にみえる内容も、その答えは明暗両方で考えられる。暗い方がより実人生的になる。


 曰く、桃太郎は小さい頃から周囲にいじめられていた。それは桃から生まれたという出自に発する。従って鬼退治に村人の誰も協力しようとせず、見送りさえも行わなかった。そんな現実を抱えながらも鬼退治を果たし、財宝を持ち帰った桃太郎は、出迎えの村人を前に…。なんというドラマか。やはり桃太郎は面白い。