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コトバという生き物

2017年03月03日 | 雑記帳
 県の芸術文化振興大会に参加した。新聞でも報じられたように秋田大学の佐藤稔先生が『間違いなのでしょうか?この日本語!』と題して講演なされた。個人的に実に興味深い内容だった。教職を続けながら、ぽっと心の隅で感じ続けてきた「日本語って結構いいかげんだよなあ」ということを、改めて思い出した。



 講演は演題に使われている「?」と「!」のカード提示から切り出された。様々な媒体で使われるこの二つの記号、使い方も非常にまちまちだ。それは結局そこにルールがないという証拠であり、結局、絵文字やスタンプとあまり変わらないのかなとも感じた。英語やラテン語をもとにした符号のでき方にも驚かされた。


 繰り返し表記「々、〃、ゝ、ゞ」がもたらした字の変化や、造語に「間違って定着する」という場合が多いことも知った。また県内の人名地名に関わる話では、本県にある「草彅」はもともと「草薙」だったものがかなり恣意的に与えられたこと、「掵」のつく地名が急傾斜地にあること(手で命を救う)が面白かった。


 一番ふうううんと思った「誤りの定着」例は、「二十日ネズミ」のことだった。そもそも「噛まれてもあまり痛くないネズミ」を「甘口ネズミ」と言ったそうだ。その「甘口」の、線が一本移動していつのまにやら「廿日」になったというのだ。そう呼ばれてから「二十日で大人になる成長の早さ」が強調されたらしい。


 講演の結論は「言語は多数を制した者が勝つ」だった。これはもちろん現在進行形である。言葉の乱れはいつ時代も指摘されるが、その中で生き残るコトバは注視するべきだ。大多数の人たちの支持は言いやすさから発するが、それだけではない「本当らしさ」「本音」も加味されるから、コトバは生き物に似ている。