すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

「これが良い」の似合うひと

2017年03月17日 | 読書
 朝の連続ドラマウォッチャーになって数年経過した。何年か前からはBSの再放送シリーズも視聴している。その範囲内でのマイ大賞作品は『ごちそうさん』だ。(『あまちゃん』は審査員特別賞という感じかな)。『ごちそうさん』は展開のメリハリとともに、杏という女優の「圧」の強さに支えられた質の高い作品だ。

2017読了28
 『杏のふむふむ』( 杏  ちくま文庫)



 『ごちそうさん』の主演をする以前に、「出会い」をテーマに「Webちくま」に連載した文章をまとめて書籍化した一冊だ。改めてこの人の魅力が伝わってくる。テーマに沿って各界の様々な人物との出会いが記されているが、そこから浮かび上がってくるのは、「本物から愛される自然体を持った存在」としての杏だ。


 「野球好き」「読書好き」「歴史好き(歴女)」の彼女は、それらの興味やモデル、女優としての仕事を起点にして、多様な「本物」と関わりを持つ。その方々があの大柄な彼女を、本当に優しく包み込むように受けとめるのは、きっと発する「気」に魅力を感ずるからだ。知的好奇心の塊が行動力を持っているイメージだ。


 彼女は「野球タイプ」だろう。いわゆる「フットボールタイプ」ではないと思う。パスを回しながら組み立てるというより、待ちながら思考し、その場その時に、集中力を見せる。もちろんコミュニケーションは、キャッチボールで…というイメージが浮かぶ。歴史好きは野球好きなのかもしれないとふと思い浮かぶ。


 「おまけ」としてある「後日談 ベラの授業」は「ようこそ先輩」の番組に出演した時、自ら考え小学生に語りかけたシナリオだ。いいセリフがこれ!「大切なのは、選ぶとき『これで良い』じゃなくて『これが良い』って思うことさ。」ちなみにこの文庫版のあとがきは村上春樹。まさに「これが良い」という選び方だ。