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ハイッ、むの先生

2018年04月13日 | 読書
2018読了41(5冊シリーズ)
 『100歳のジャーナリストからきみへ』(むのたけじ・菅聖子  汐文社)


 写真はこちらへ→http://spring254.blog.fc2.com/blog-entry-10.html

 「生きる」「学ぶ」「育つ」「平和」「人類」という全五巻。体裁は同じであり、見開きの右側ページに、むのの短く鋭いコトバと写真や補足的なことが載っている。左ページは菅による解説的な文章。そのコトバの背景を説明したり、むのが語った言葉を添えたりしている。小中学校の図書館には揃えたいシリーズだ。

 子どもの目になって、というより、今の自分として素直に読んでみて、より強く感じる箇所があったのは、圧倒的に「学ぶ」の巻だった。「学ぶ」本質をよく表していると思ったのは、次のコトバだ。


 学ぶ営みは一人で始めて、
 一人へ戻っていく。
 始めた自分と、
 戻っていく自分との間に、
 たくさんの人が入れば入るほど、
 学んだものは高くなり深くなる。


 ここには、「学校」の存在価値がすばりと言い表されているようだ。ちなみに、そのページに添えられた写真は「1930年代、母校六郷小学校の全景」である。


 学び方に関して、独特のコトバがあった。

 人間の観察眼は三種類ある。
 望遠鏡の目と、
 顕微鏡の目と、肉の目。
 観察を洞察へ高めるには、
 三種類の活用に
 軽重をあらしめてはならぬ。



 「望遠鏡の目」「顕微鏡の目」に関しては、類したコトバは多い。しかし「肉の目」とは…。これは、菅の解説には「等身大の視点で見ること。正面から向き合って、見えたものや感じた気持ちを大切にしましょう。」とある。この肝心かなめとも言える「肉の目」は、むのが一番強く保持し続けたものではないか。



 読書三昧を続けているグータラを元気づけてくれるコトバもあった。

 雑食の胃袋を持つ人間は、
 頭脳にも雑食が必要である。



 さらに、読書の作法についても、こんなふうに語る。

 読書は第四の食事である。
 望ましい作法は、(略)
 毎日欠かさず適量を摂取すると
 一番ためになる。


 「ハイッ、むの先生」と元気のいい声で返事をしたくなる。