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本当に「逃げる」人間は

2018年04月14日 | 雑記帳
 「ドラマのような」と言えば顰蹙をかいそうだ。しかし、ドラマチックなことは確かな騒動、事件があった。一つは松山刑務所からの受刑者脱走。島へ逃走したので、警察が島を封鎖し、人員を割いてもロータリー作戦のように捜しまわってもなかなか見つからない。泳いで海を渡ったかなどという憶測もでる始末だ。



 何故捕まらないのか。二つの要因が報道されている。一つは脱走者自身の「逃げ上手」、以前事件を起こした時も山へ潜伏していた経験があるらしい。周囲もその「能力」を語っている。もう一つは「空き家の増加」という問題。こうした場合も簡単に立ち入れないと知ると、様々な複雑さに覆われている社会に気づく。


 茶化す気持ちはないが、先日TVドラマ化されていた「小野田さん」のことをふと思い出した。人の目から逃れる方法に長けていることは、一つの才能だ。更生できればいいと思う。もう一件は、若い警察官による同僚射殺事件。驚いてしまった。刑務所脱走者同様に犯罪者ではあるが、どこか対照的な感じも受ける。


 報道では3月下旬に出会ったというではないか。実質数日間の関わりだろう。あまりに「決着」が早すぎる。この短絡さは衝動性ということだけで済まされるのだろうか。「(関係から)逃げたら良かったのに」「拳銃を力と思ったのか」…そんな単純な想いでは計り知れないのかもしれない。しかし哀しい踏み出しだ。


 もちろん脱走者を容認しているわけではない。しかし「なんとかなる」思考というか、精神力の強さが行動を支えている。吉村昭の小説『破獄』の主人公は、つながれた特製の錠を味噌汁によって腐食させて脱獄した。本当に「逃げる」人間は、エネルギー、研究心、持続力、楽観性…多くの要素を持っている気がする。