すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

狭い間口が守る価値

2018年11月18日 | 雑記帳
 松島からは、山形市を経由して帰る計画をしていた。目的はただ一つ、あるお菓子を買うこと。Y家のF豆である(イニシャルにした意味はあまりないが。まあ知っている人は多いはず)。電話注文はできると言うが、他に販売する場所は展開せず、その本店でしか手に入らない逸品だ。



 このF豆は、よく義姉が山形市に所用が出かけたとき買ってきてくれて、その味にハマった。当時は駅でも売っていたがいつからか撤退した。十年くらい前に会議で山形へ出張したとき、帰る間際になってタクシーで店を探し、数箱買い求めて、急いで駅まで戻ったことを思い出す。


 それほどしっくり自分の味覚に合う、このY家のF豆。売っている本店の店舗は山形市の繁華街にあるが、歩いていると見過ごしてしまいそうな細い店構えである。間口は一間半か。そこに店員さんが数人居り、売り子をしている人の奥で、盛んに豆を袋詰めしている様子が見える。


 休日には午前中で売り切れも多いらしい。それでも販売を拡大しようとしないのは訳があるはずだ。詮索するより、その商いの仕方を応援したい。「そこでしか買えない」価値は、その訳をしっかり持つことによって成立する。きっとその美味を守ることにつながっているに違いない。