すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

すべては概念の使いこなし

2018年11月13日 | 読書
 思い立って書棚からデザイン関係の本を2冊取り出してみた。と言っても現在活躍するデザイナーは、総合的なプロデューサーや地域起こしの仕掛人のような役割を担っている。教育分野でもデザイン的思考が拡がって十数年経つだろうか。今改めて読み直すと、前とは違った観点がある自分に気づく。それも貴重だ。



2018読了106
 『佐藤可士和の新しいルールづくり』(聞き手・齋藤孝 筑摩書房)


 そもそも「ルールをつくる」という発想が、多くの日本人には希薄だった。ルールは誰か上の人が作り、自分たちはそれを守っていく…長くその思考に染まった歩みが全て誤りとは言えないが、社会変化は確実にそれを許さなくなっている。生き方、在り方は自分の「ルールを描く」ことから始まると教えてくれる。


 「新しいルール」をつくれるようになるためには「概念を完全に使いこなす」ことが必要と佐藤可士和は言う。聞き手の齋藤は、その本質を分析し、様々な言葉で言い換えながら提示していく。今回特に染み入ったのは、「自分のスタイル」ということ。自分なりの「ずれ(変形作用)」の一貫性を意識することが重要だ。



2018読了107
 『梅原デザインはまっすぐだ!』(梅原真・原研哉 はとり文庫)


 梅原真が地元高知県の次に手掛けたのが、本県秋田である。県のスーパーバイザーになったのが2010年。「あきたびじょん」の提案者である。それから8年…秋田県にそのコンセプトは浸透しただろうか。梅原独特の姿勢で殺し文句の「アカンヤンカ」を、もう一度強くぶつけてほしい気持ちになった。「アカン」の感性を研ぎ澄ます必要がある。


 対談者の原とともに強調しているのは、「ローカルを盛り上げることが大切」また「日本自体がローカル」だということ。そのローカルにある「本当をさがす」ことが個性を生かすための原点である。そう考えていくと、佐藤可士和のいう「概念を使う」ことと強く結びつく気がする。地域おこしという概念を理解し、共有し、働きかける筋道だ。