『いきな言葉 野暮な言葉』(中村喜春 草思社)は、芸者から通訳になり長く米国在住したという異色経歴の著者が、花柳界の言葉などを取り上げて使用例を示した本で、書名に惹かれて購読した。90年代の発刊、昭和テイストが色濃く反映された中身だったので斜め読みペースだったが、こんな言葉で立ち止まった。
「ちょっと」
ごく普通の言葉という前置きもしながら「芸者仲間の暗黙の了解」と表して、なかなか粋な使い方を伝えている。そう言えば…と改めてこの「ちょっと」を辞書で引いてみると、今さらながら面白いと感ずることが多い。まずは漢字表記。「一寸」は普通に読めるし使う人もいるが、もう一つあった。「鳥渡」と書く。
調べてみるとどちらも当て字であり、「一寸」は意味から、「鳥渡」は音からとされている。「チヨウ」と「ト」ということだ。こんなふうに書いている人は残念ながら見たことがない。クイズなら出そうなレベルだ。意味は、考えてみればわかりそうなこととはいえ、広辞苑では副詞として五つに分類されている。
① わずか。少し ②(逆接的に)存外。かなり。
③しばらく ④ほんのついでに
⑤(否定の語を伴って)少しのことでは。そう簡単には。
ちょっといいでしょ。家のハナミズキ 2020.5.12
他の辞典には「感動詞」として「軽く相手によびかけるときのことばとして用いる」も載っている。これはずいぶん頻度が高い。使い方としては同等もしくは目下へということになろうか。言い方でずいぶんニュアンスが変わる。例えば「ちょっと、ちょっと」などは、場を想像すると実に様々な心情が適用される。
ちょっと(①として)した驚きを超えて、ちょっと(②として)感心した。ちょっと(③して)考えてみて、ちょっと(④として)書けると思ったのだが、ちょっとそうはいかなかった(⑤として)。
「ちょっと」
ごく普通の言葉という前置きもしながら「芸者仲間の暗黙の了解」と表して、なかなか粋な使い方を伝えている。そう言えば…と改めてこの「ちょっと」を辞書で引いてみると、今さらながら面白いと感ずることが多い。まずは漢字表記。「一寸」は普通に読めるし使う人もいるが、もう一つあった。「鳥渡」と書く。
調べてみるとどちらも当て字であり、「一寸」は意味から、「鳥渡」は音からとされている。「チヨウ」と「ト」ということだ。こんなふうに書いている人は残念ながら見たことがない。クイズなら出そうなレベルだ。意味は、考えてみればわかりそうなこととはいえ、広辞苑では副詞として五つに分類されている。
① わずか。少し ②(逆接的に)存外。かなり。
③しばらく ④ほんのついでに
⑤(否定の語を伴って)少しのことでは。そう簡単には。
ちょっといいでしょ。家のハナミズキ 2020.5.12
他の辞典には「感動詞」として「軽く相手によびかけるときのことばとして用いる」も載っている。これはずいぶん頻度が高い。使い方としては同等もしくは目下へということになろうか。言い方でずいぶんニュアンスが変わる。例えば「ちょっと、ちょっと」などは、場を想像すると実に様々な心情が適用される。
ちょっと(①として)した驚きを超えて、ちょっと(②として)感心した。ちょっと(③して)考えてみて、ちょっと(④として)書けると思ったのだが、ちょっとそうはいかなかった(⑤として)。