すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

寄り添って広く深く学ぶ

2020年05月02日 | 読書
 古くからの知り合いである酒井浩さんが本を出版した。

 『鳥の目・虫の目・子どもの目』(無明舎出版)

 年度替わりでドタバタしていて注文するのが遅くなったが、版元に直接申し込んだら即納だった。
 彼のFBやブログで事前に告知されているとおり、副題「ヒロちゃんの子育て自然観察ガイド」にふさわしい、親しみの持てる内容だった。

 第一章に写真を並べ、二章以降に本文を並べるという、なかなか見られない構成だなと感じた。ごく普通に考えれば、ページの合間に写真を取り入れるだろうが、文を読んでいる時に「ああ、あの写真」と思い出すことも出来るし、これも一つの工夫だなと思った。

 著者の精力的な活動の様子と、それを支える自然観、教育観が素直に語られ、共感しつつ、また考えを深めることもできる。
 遠くから高くから俯瞰したときの子どもや大人の姿、そして身近にぐんと接近したときに捉えられる表情・動き、そして「今」の子どもであれ「昔」の子どもであれ、その内側に内包している思いや願い…それらを追求してきた、著者のフィールドの一断面がそこにあった。

 「鳥の目」も「虫の目」も、子ども相手に仕事をし続けている者にとって重要なキーワードであり、自然を愛しそこから多くを学んだ著者にはもはや肉体化している視点とも言える。
 100ページあまりのボリュームだが、教員としてそして自然環境保護活動のロングランナーとして、長い経験に裏打ちされた重みを感じた。


 朝のベッド内で読み終えた当日、新聞に大きく記事として取り上げられていて、その偶然を喜んだ。
 記事は多くの人たちに「読んでほしい」と締め括られていた。
 それは一種の教育欲であると同時に、彼のバイタリティの根源をなす精神であるような気がした。なかなか真似できない


連休初日は朝から近くの春山へ恵みをいただきに…。朝日にタンポポが映えていた。

 ところで、この本を注文しようと検索したとき、こんな題名の本がアマゾンで示されたので、はずみで(笑)買ってしまった。

 『虫の眼・鳥の眼・子どもの眼 こどものミカタ(味方・見方)』(高橋のぶゆき エイデル研究所)

 著者は保育の専門家であり、保育誌の連載原稿をまとめられたものだった。
 体裁や内容はずいぶんと違うが、書名に込められた思いは共通するだろう。

 目の前の対象に寄り添って、広く深く学ぶという姿勢である。