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廃校の中のバトンは

2020年05月15日 | 雑記帳
 公民館関係の方より連絡があり、用事である廃校舎に入ったら書籍がずいぶんとあったが貴重な資料はないのかという問い合わせだった。数年前の統合時に一応の点検はしているはずだが、一挙に進めた経緯もあるし、念のため訪問して確認することになった。向かう先はかつて自分が6年間続けて勤務した地である。


 閉校式典に参加したので五年ぶりか。実は一年前も点検しようと玄関まで行ったがトラブルで入れなかった。今回ようやく足を踏み入れることができた。玄関周辺は保存掲示がある物品以外は、案の定散乱している。特徴ある螺旋階段を上り2階へ。懐かしい並びで普通教室、特別教室、トイレなどが目に入ってくる。


 廊下にそのまま残っている掲示物がある。貼りだされている詩は、相田みつをの「自分の番 いのちのバトン」のようだ。この校舎は比較的新しく築40年を過ぎて数年だったはずである。しかし何百人かの「命」が入学し、親子で学んだ家庭もきっと多いことだろう。そう考えると、ここもパスされた場の一つだ。



 連続して6年勤めたので4学年を経験している。同じつくりとはいえ、窓から見える景色など妙に懐かしい。特に2階奥から西側の沢目に作られたプール。これは印象深い。ドル平泳法の指導に夢中になった時期でもあった。しかし沢水を引き入れた低温のプールで、蕁麻疹が酷くなったという笑えない思い出もある。


 書籍確認により一つ課題が見えたことは収穫だった。また再利用されない建造物の状況を生で見られたのも貴重だった。帰宅してから、夕食時にそんなことを話す。家人もかつて勤務した場所である。収めた何枚かのスナップを見せたら、「あれっこの詩、私が書いて貼ったはず…」という、目出度い(笑)オチとなった。