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令和2年-労基法問7-E「減給の制裁」

2020-10-16 05:00:01 | 過去問データベース
今回は、令和2年-労基法問7-E「減給の制裁」です。

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労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間に対する賃金額を減給する際も労働
基準法第91条による制限を受ける。

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「減給の制裁」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H14-6-E 】

就業規則で、労働者が遅刻をした場合にその時間に相当する賃金額を減額する
制度を定める場合には、減給の制裁規定の制限に関する労働基準法第91条の
規定の適用を受ける。


【 H11-5-A 】

就業規則により出勤停止処分を課す場合、当該出勤停止処分により労働者が出勤
しない期間中の賃金を支払わないことができるが、一賃金支払期における通常の
賃金額の10分の1を超えてはならないこととされている。


【 H16-7-B 】

就業規則に制裁として出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある
場合において、労働者が、例えば5日間の出勤停止の制裁を受けるに至ったとき
は、当該5日間の賃金を支払わないことは、制裁としての出勤停止の当然の結果
であって、労働基準法第91条の減給の制裁の制限には関係のないものである。


【 H28-5-D 】

服務規律違反に対する制裁として一定期間出勤を停止する場合、当該出勤停止
期間中の賃金を支給しないことは、減給制限に関する労働基準法第91条違反
となる。


【 H2-6-E 】

就業規則中に懲戒処分を受けた場合には昇給させない、という昇給の欠格条項
を定めても、「減給の制裁」には該当しない。


【 R1-7-D 】

就業規則中に、懲戒処分を受けた場合には昇給させない旨の欠格条件を定める
ことは、労働基準法第91条に違反するものとして許されない。


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「減給の制裁」に関する問題です。

これらの問題は、どのような場合が「減給の制裁」に該当するのかを論点にして
います。

「減給の制裁」とは、職場規律に違反した労働者に対する制裁として、本来ならば
労働者が受けるべき賃金の中から一定額を差し引くというものです。
言い換えれば、労働して賃金を受けることができるけど、それを減らしてしまう
というものです。

したがって、遅刻、早退又は欠勤に対して労働の提供のなかった時間に相当する
賃金だけを差し引くことは、そのような賃金制度のもとにおける一つの賃金計算
方法であって、制裁としての減給に該当するものではありません。

【 R2-7-E 】と【 H14-6-E 】では、遅刻・早退をした場合に、その
時間に対する賃金額を減給することが減給の制裁の規定の適用を受けるとして
いますが、前述のとおり、そもそも減給の制裁ではないので、減給の制裁の規定
の適用は受けません。誤りです。

また、就業規則に出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある場合に
おいて、労働者がその出勤停止の制裁を受けるに至ったとき、出勤停止期間中の
賃金を受けられないことは、制裁としての出勤停止の当然の結果であって、通常
の額以下の賃金を支給することを定める減給制裁に関する規定とは関係ありません。
ということで、
「出勤停止期間中の賃金を支給しないこと」は、労働基準法に違反しないので、
【 H28-5-D 】は誤りです。
それと、「支払わないことができる賃金額が10分の1まで」ということもないので、
【 H11-5-A 】も誤りです。
これらに対して、【 H16-7-B 】は正しいです。

【 H2-6-E 】と【 R1-7-D 】は、その他の問題と少し違っていて、
働かなかったというのではなく、昇給の欠格条項が「減給の制裁」には該当する
か否かを論点にしています。
「懲戒処分を受けた場合には昇給させない旨の欠格条件」というのは昇給させない
だけの取扱いであって、現状の賃金を減額するというものではありません。
ということは、減給制裁に関する規定とは関係なく、「労働基準法第91条に違反
するものとして許されない」とある【 R1-7-D 】は誤りです。
【 H2-6-E 】は、「減給の制裁」には該当しないとしているので、正しい
です。

「減給の制裁」とはどのようなものなのか、「遅刻、早退又は欠勤」や「出勤
停止」、「昇給させないこと」とは異なるということは、理解しておきましょう。 
また、「減給の制裁」に関しては、具体的な例を挙げて、該当するのかどうかを
問う出題があるので、そのような具体的な出題にも対応できるようにしておき
ましょう。

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労基法H24-1-E

2020-10-16 05:00:00 | 今日の過去問
今日の過去問は「労基法H24-1-E」です。


【 問 題 】

裁判所は、労働基準法第20条(解雇予告手当)、第26条(休業手当)
若しくは第37条(割増賃金)の規定に違反した使用者又は第39条
第9項の規定による賃金(年次有給休暇中の賃金)を支払わなかった
使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が
支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額
の付加金の支払を命ずることができることとされているが、この付加金
の支払に関する規定は、同法第24条第1項に規定する賃金の全額払の
義務に違反して賃金を支払わなかった使用者に対しては適用されない。

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【 解 説 】

付加金の支払に関する規定は、賃金の全額払の義務に違反して
賃金を支払わなかった使用者に対しては適用されません。
付加金は、労働基準法独自に規定している「解雇予告手当」、「休業
手当」、「割増賃金」、「年次有給休暇中の賃金」が支払われなかった
場合に、労働者の請求に基づき、裁判所が使用者に対して支払を
命じることができるものです。


 正しい。  


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