食べられると知ったからには試してみたいので、どこにでも生えてくるウバユリの柔らかそうな葉を千切り採る。
葉脈に色がついているようなのは硬そうに思われたので、おとなしい色合いの葉を片手で持てる分だけにした。
千切る時に匂いとするか臭いとするか、米糠に似た微妙な香りが漂った。
子どもの頃に、すぐ腹をこわすから『わかもと』という錠剤を摂り続けたことがあったのを想い出した。
何十年も思い出すことのなかったことが、においの記憶として残っていることもあるのか。
さっと洗って、普通にお浸しの要領でやってみて、茹で加減はどうかと菜箸でつまみ、噛んでびっくり、ものすごく苦い。
今度はゴーヤ・チャンプルーを沖縄の食堂で初めて食べさせてもらった時の苦さを想い出した。
ネット記事に球根の食べ方は詳しく載っているのに、葉も食べられるとあるだけで味は書いてなかった。
これは堪らんと即刻捨てることも考えたが、せっかくなので長く水に浸すことにした。
1時間ほど経ってから食べてみると、苦さは和らいでいて食えないことはないが、旨さというものは全く感じない。
それでも、絞ってタッパーにいれて冷蔵庫へ入れておいたのを、数時間後の夕食に鰹節をかけて食べた。
そうして、ご飯、焼き鮭、モヤシ炒め、具だくさんみそ汁の合間の箸休めとして食べればなかなかだ。
苦さも口に残り続けるというほどのことはなくて、『わかもと』のにおいもせず、クセになりそうですらある。
おかずとして付け加えたのは正解だった気がして、全体の夕食を撮らないでしまったのがざんねん。
タッパーの残りも食べきるだろうけれど、今度はいつ茹でることになるか、胃腸薬代わりにはなるのかどうか。
次は球根にチャレンジだが、これはいつでも掘れるから、生えてる場所が貯蔵庫だ。