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中越地震と中越沖地震という二つの大地震で傷めつけられた生家は修繕されることもなく、傾いた柱も床もそのままなのだが、誰も泊まることがなかったところを私が長逗留するようになって現状維持を保っている(に違いないと思いたい)。
人が住んで風を入れることで風化をまぬがれるというのが面白いところだけれど、私の友人が言うには、人の吐く炭酸ガスが古い家には必要なのだとか。
毎年の健康診断と手術後の3ヶ月置き検査のため10日ほど留守にするので、最終チェックの家周りを歩き、廃墟らしさ漂う蹲(つくばい)とテッセンを撮った。
この蹲は家に密着した格好で何十年来置いてあったものだが、ボウフラが湧くので私が水を溜めないよう立て掛けた。
テッセンは私の子ども時代にはなかったが、いつ誰がどうしたのか、アケビの蔓と絡まり合い少し立ち上がったりしながら毎年花を咲かせる。
クレマチスの華やかさはなくて、昔からの馴染みの紫一色だから、おそらくテッセンだろうと思われる。
ぐるっと回って玄関横に来たら久々に蛇がいて、この模様はアオダイショウでもシマヘビでもないし、ましてマムシでもないとなるとヤマカガシ。
毒はマムシの3倍、ハブの10倍だそうだが恐いと思ったことはなく、追いかけて、こちらが脅しをかけてうずくまらせて撮った。
頭から後ろを平たく張ってこちらを威嚇するのだけれど、ぺろぺろと先分かれの舌をだしてはこちらの情報収集をしている。
口を閉じたまま舌を出す仕掛けの穴が面白い。
腹が膨らんでいないということはネズミなどの大物を捕らえずにアオガエルばかり捕らえているのだろう。
検索してみると確かにヤマカガシなので、廃墟の主として相応しい気がして、私の留守中を託す。