和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

世論過敏症。

2012-10-29 | 短文紹介
もらってきた読売の古新聞に
「新書論壇」(2012年9月12日)というのがありました。
以前から連載されているのやら、ちょっとわかりません。
竹内洋氏が書かれております。
新書が3冊紹介されております。

 橋本五郎著「総理の器量」(中公新書ラクレ)
 山内昌之著「リーダーシップ」(新潮新書)
 橋本治著「その未来はどうなの?」(集英社新書)



すこし引用。

「山内昌之『リーダーシップ』である。菅前首相にいたっては、『退却や責任回避の達人』と、政治家失格の引導が渡されている。
民主党の要人にこのような型無し政治家が多いとみえてしまうのは、『幸福の災い』というべきものだろう。急転直下の政変で、首相や閣僚の要職が棚からぼた餅式でやってきたからではないか。国会議員になれれば儲けものくらいに思っていた人たちが、気がついたら思いもよらぬ官房長官やら閣僚、それどころか首相に上りつめてしまった。・・・軽さだけが透けてみえてきてしまう。」

そして

「民主党は、『世論』民主主義を御旗に登場してきた。野党のときには、与党攻撃の格好の材料になった。しかし、与党になると、習い性は一転して世論の風見鶏という足枷になる。これが決められない政治のもととなる。
迂闊なことをいえば、世論の反発を招くことになるからと、鳩山元首相の普天間飛行場移設問題の迷走がそうであったように、『誰にでも受け入れられる落としどころ』という『マヌケな探し方』をしてしまう(橋本治「その未来はどうなの?」)。世論過敏症はいまでもつづいている。」

さっそく面白そうな、
橋本治著「その未来はどうなの?」を購入。
うん。買ってよかった。
竹内氏が引用した個所は、
新書の最後の章にあり、
読み甲斐があります。
ここでは、第一章「テレビの未来はどうなの?」の
の最後を引用してみます。

「テレビは日本人をどう変えたか?
やたらの数の批評的言辞を弄する人間を生み出して、
しかし言論そのものを活性化することはなかった。
『いい加減であってもいい』ということを習慣的に
マスターさせたが、
『いい加減であってもいい』と『いい加減でいい』
の間にある微妙な差は理解させなかった。
私はこういうことを『大きな変化だな』と思うのです。」

ちなみに、「あとがき」では
ご自身の病気への言及がありました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする