曽野綾子さんは1931年生まれ。
うん。お元気そう。
人生の先達から、いろいろ教わります。
曽野綾子著「不幸は人生の財産」(小学館・2013年)は、
週刊誌の連載を再構成したもの。
そこから引用。
「後期高齢者という『分別』の仕方が気に食わないと文句を言う人がいたが、
その後の成り行きはどうなったのか私はよく知らない。
改めて言うが、私は75歳の線引きに大賛成である。
その年になってみれば急に同級生が、死なないまでも、
どんどん病気になっていくのがよくわかる。」
(p124・掲載は2010年9月3日号・隔週連載の「昼寝するお化け」)
現在はというと、米国大統領選挙のニュースでもちきりですが、
その情報格差のはなはだしさ、が明らかになりつつあります。
ネット配信の今日の「虎の門ニュース」が、
お昼に再生しようと思ったら、
再生されない事態になっておりました。
もどって、
曽野綾子さんのこの本に『どこの国も内部はガタガタ』
と題する文がありました。
「・・・テレビを始終見ているわけにいかないし、
テレビやインターネットでは
『紙に印刷された文字から思考するという上等の間』
がもてない。
新聞には時々、すばらしい写真が載る。・・・・私は好きなのだが、
写真なら信用していいというわけでもない。
昔、朝日新聞が、戦争中の日本軍の毒ガス作戦だという証拠写真を載せた
ことがあった。平原の中に毒ガスの煙が上がっているような光景であった。
私の夫はそれを一目見るなり、『これはガセネタ』と笑っていた。
夫は・・・終戦間際に今度は召集されて二等兵になった。そんな最下位の
兵隊だった夫が、どうしてその写真がガセネタだとわかったかというと、
毒ガスは重いガスなので、地表に溜まる。当然のことだ。
もし毒ガスが空気より軽かったら、あっという間に、
人間の背丈より高いところに上ってしまって・・・
人間を殺す目的を達せられない。
だから毒ガスは、普通谷で使う。・・・
風も吹き通り易い平野部で毒ガスを使うなどということは、
まかり間違ってもありえない。
という軍事的な常識が、新聞社には欠けていたのである。
この写真はやはりあちこちから疑問が出て、まもなく
資料としては全く正しいものではなかったという結論が出た。」
うん。このあとの短文の真ん中を、思いきりカットして
この文の最後を引用。
「アフガニスタンでは9月18日下院選挙が行われた。
選挙管理委員長は、『選挙は成功裏に終わり、反政府勢力に勝利した』
と宣言したが、誰もそれを信じない。
約1千カ所以上の投票所が治安上の理由で閉鎖され、
殺害やロケット弾による死者も出た。・・・・・
どこの国も、大きな問題を抱えている。
日本はむしろ順調に暮らしている国だということを
忘れない方がいい。」
(2010年10月15日号)
はい。今回のアメリカの大統領選投票も
「大きな問題」をかかえているようなのですが、
それを日本のテレビでは知らせてくれていない。
知ろうとすれば、今はネットがある。それなのに、
そのネットが消される事態になっておりました。
あなたは、どこを見ておりますか?