本棚から、文春文庫をとりだす。
「女子学生、渡辺京二に会いに行く」(2014年)。
単行本は、2011年9月に出ていたようです。
うん。以前に読んで、その際の印象が鮮やかでした。
それなのにね。内容はすっかり忘れております。
読んだ際に、線を引いておいたので、その箇所を
パラパラとひらく。
うん。あらためて思うこともありました。
津田塾大学のゼミの女学生たち数人が、
各自の卒論のテーマを、まず渡辺京二氏に
簡単に説明してから、座談がはじまってゆく一冊です。
うん。読みかえせてよかった。
簡単に読めるし、こればかりは読んだ人の特権として
楽しみは語らずにおくことに(笑)。
ここでは話の最後の締めくくりの渡辺京二氏の言葉を
引用してみることに
渡辺】 この二日間で、僕がいかに幼稚な人間であるか、
よくおわかりになったと思う(笑)。
自分で80歳になったという自覚が全然なくてね、
僕は60歳ぐらいまでは、もう60になった、
当然だなと思ったけど、ある日80になっとったのよ。
おかしいな。20年間もたったはずがないぞ。
龍宮城に行っていたのかなって。
・・・・
あなたたちのような若い人に、
僕が自分勝手に話すわけですから、
少しはあなた方にわかりやすいようにとは努めましたけど、
本質的にそれ以上やさしくできないところがありますから、
だいたい地を出してお話しした。
それでもちゃんとうけとめてくださった。
今あなたたちは、とてもつき詰めた気持ちを持っておられますが、
そういう気持ちや一時の感激は、持ち続けるってことはなかなか
できないことなんです。だから、それを思い返し、思い返しして
いくということがあってほしいもんだと思います。
僕はあなたたちと二日間お話して、
男の野郎、何しているんだと、思うね(笑)。
何して遊んでいるのかなあ、もう、男はあてにならんから、
今後は女をあてにすることにした(笑)。
(p262~263)
ご自分を幼稚だという人間が、
「あとがき」でこう語ります。
「・・・・今日の世相にうとい私は、
彼女たちからいろいろと教えられる点が多かった。
ありがとう、彼女たち。
どうか、どんな不運に出会おうとも、
しあわせになってください。・・・・」(p265)