ちょっと夏を忘れるような、すごしやすい気候がつづきました。
中村草田男著「蕪村集」の『夏の部』をひらく、
ついでに『秋の部』のはじまりをめくってみる。
『秋の部』はまず「おどろく」が三句つづきます。
おどろく。おどろきぬ。おどろきやすし。
というぐあい。ここには三句目を引用。
唐黍のおどろきやすし秋の風
この草田男訳はというと
「 唐黍の長い葉はちょっとの風にあっても
すぐに左右されて、ざわざわと揺れるものであるが、
近頃では小止みもなしにぎょうさんに驚き騒ぐ
ような音を立てている。そういえば、もう
秋風らしい強い風が遠慮なく天地を吹き渡っているのである。 」
「 ・・・正面から『秋風』を採り上げている。
『おどろきやすし』は、唐黍の葉の習性を描破すると同時に、
それが万物にさきがけて秋風の訪れを感知している
気持ちがあらわされている。・・ 」
( p214~215 「蕪村集」大修館書店 )
まだ、秋は来てほしくないんだ。
私が好きなのはなんだかんだ夏。