加島祥造訳「タオ 老子」(筑摩書房・2000年)の最初から引用。
道(タオ)
これが道だと口で言ったからって
それは本当の道(タオ)じゃないんだ。
これがタオだと名づけたって
それは本物の道じゃないんだ。
なぜってそれを道だと言ったり
名づけたりするずっと以前から
名の無い道(タオ)の領域が
はるかに広がっていたんだ。
まずはじめに
名の無い領域があった。
その名の無い領域から
天と地が生まれ、
天と地のあいだから
数知れぬ名前が生まれた。
だから天と地は
名の有るすべてのものの『母』と言える。
ところで
名の有るものには欲がくっつく、そして
欲がくっつけば、ものの表面しか見えない。
無欲になって、はじめて
真のリアリティが見えてくる。
名の有る領域と
名の無い領域は、同じ源から出ている、
名が有ると無いの違いがあるだけなんだ。
名の有る領域の向うに
名の無い領域が、
はるかに広がっている。
明と暗のまざりあった領域が、
その向うにも、はるかに広がっている。その向うにも・・・
入口には
衆妙の門が立っている、
森羅万象あらゆるもののくぐる門だ。
この神秘の門をくぐるとき、ひとは
本物の Life Force につながるのだ。
ちなみ、PARCO出版・加島祥造訳「タオ」(1992年)があるのですが、
筑摩書房のほうが訳文の推敲がされていて、よりわかりやすく読めます。