山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

ハシバミ (カバノキ科) Corylus heterophylla Fisch. ex Besser var. thunbergii Blume

2023年06月12日 | 樹木類
山地帯の林縁や疎林内に生育する落葉低木である。高さはふつう1~2m、大きいものは5mほどになる。葉は互生し、広倒卵形で先は浅く掌状に分岐し、辺縁に鋸歯がある。若葉には茶色い斑紋がある。雌雄同株で3~4月、葉を展開する前に開花する。雄花は長さ3~7㎝で枝先にぶら下がる。雌花は数個ずつ頭状に集まって付き、芽鱗に包まれたまま開花するので赤い柱頭だけが外に出るように咲き、目立たない。9~10月ごろ堅果を実らせ、雌花の小苞は葉状の果苞となって堅果を包み込む。実は食用となり、ヘーゼルナッツに近似している。

 2018年山梨県カテゴリー: 絶滅危惧Ⅱ類(VU) 2005年山梨県カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(VU) 2017:環境省カテゴリー:なし

    群生するハシバミ 2022年6月 東部富士五湖方面で撮影

    ハシバミの若い葉の群生

    若い葉は中央部に茶色い斑紋が入る。

    葉は広倒卵形で先端部は浅い掌状に切れ込む。

    樹皮は灰白色でやや光沢がある。

    2023年4月 葉が展開した頃のハシバミ

    ハシバミの雄花序

    雄花序は毛が多い。根元あたりに雌花序が付くようだが残念ながら見えていない。

    ハシバミの果実 2023年7月 東部富士五湖方面で撮影

    ハシバミの実 痛そうな葉状の果胞に包まれている。




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ユズリハ (ユズリハ科 )Daphniphyllum macropodum Miq. subsp. macropodum

2023年06月12日 | 樹木類
 福島県以西の暖温地の山林に生育する常緑高木である。樹高は 4 ~ 10mになる。雌雄異株。葉は互生し有柄、葉身は長さ15 ~ 20㎝の長楕円形から倒卵状長楕円形で全縁、厚い革質で表面は光沢があり、裏面は帯粉白色。花は総状につき、花弁はなく、萼片も欠くことがある。果実は長さ1㎝くらいの楕円形、秋に暗青色に熟す。花期は 4 ~ 5 月。山梨県では身延町以南に生育する分布限界種で、植栽のものは多く見かけるが自生のものは稀である。

 2018:山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠB 類(EN) 2005年山梨県カテゴリー:絶滅危惧Ⅰ B 類(EN) 2017年環境省カテゴリー:なし


    ユズリハ  2022年4月 南部町で撮影


    葉には光沢があり全縁、葉柄は赤色を帯びることが多い。


    樹皮は灰白色で縦に筋が入り、楕円形の皮目がある。


    2022年4月 甲府市で撮影。おそらく植栽のものであろう。


    先端部の葉腋に花が付いている。


    おそらく雄花ではないかと思う。


    2022年7月 甲府市で撮影。 成熟する前の緑色の実が付いている。

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アカガシ (ブナ科) Quercus acuta Thunb.

2023年06月12日 | 樹木類
 暖温帯に生育する常緑広葉樹で高さ20m、幹の径は 80㎝ぐらいになる。葉は互生し、長楕円形革質で左右は不ぞろい、先端部は尖る。ふつうは全縁である。樹皮は灰白黒色で皮目は目立たないのが普通であるが、老木になると割れ目が目立ち、剥げ落ちると赤い樹皮が現れる。堅果は 約 1.5㎝ぐらいの卵球形で、1年目の実は小さいが2年目から大きくなり、秋に成熟する。山梨県では県南部に生育し、分布限界種である。

 2018年山梨県カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(VU) 2005年山梨県カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(VU) 2017年環境省カテゴリー:なし


    アカガシ  2022年1月 南部町で撮影


    老木になると樹皮の割れ目が目立ち剥げ落ちる。剥げ落ちた後に赤い樹皮が現れる。


    アカガシの葉裏。やや白っぽい。


    葉は革質で硬く光沢がある。先端は尖り辺縁は全縁である。

 堅果はまだ撮影出来ていない。

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ハンノキ (カバノキ科) Alnus japonica (Thunb.) Steud.

2023年06月12日 | 樹木類
 山地帯の日当たりのよい湿地に生育する落葉高木である。高さ20m、径 50㎝ぐらいになる。樹皮は紫褐色で不規則に浅く裂けて剥がれる。葉は互生し、卵状長惰円形で基部は広い楔形、先端部は鋭く尖り、縁には不揃いの浅い鋸歯がある。裏面脈腋に毛叢がある。葉のでる前に雄花穂は枝先について、雌花穂はその下部につく。山梨県では主に八ヶ岳周辺および富士山麓に生育している。三分一湧水公園が観察し易い。

 2018年山梨県カテゴリー:準絶滅危惧(NT) 2005年山梨県カテゴリー:準絶滅危惧(NT) 2017年環境省カテゴリー:なし
 

    ハンノキ  2022年6月 三分一湧水公園で撮影


    幹は不規則に浅く裂けて剥がれる。


    葉は卵状長楕円形で先端部は尖り辺縁に浅い鋸歯がある。


    冬期のハンノキ。 2022年3月 三分一湧水公園で撮影。


    ハンノキの幹


    落葉した枝の部分


    垂れ下がった雄花と果実が残っている。

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ヤエガワカンバ (カバノキ科) Betula davurica Pall. var. davurica

2023年06月12日 | 樹木類
山地帯高原に生育する落葉高木で、高さ15~25m、径 は20~50㎝(径 1m 近くになるものもある)になる。樹皮は灰色を帯びた褐色または灰色で、鱗片状に幾重にも剥げ落ちる。ヤエガワ(八重皮)の名はこの樹皮に由来がある。葉は卵形~やや菱形状の卵形で先端は鋭く尖り、ふちには不揃いな鋸歯がある。花は雌雄同株で4~5月ごろ葉の展開とともに開花する。雄花序は枝の先に2~3個ずつ垂れ下がって付き、雌花序はその手前に直立して着く。中部日本高原に分布し、清里、南ア北部、秩父山地西部、特に県境付近に多く生育する。

 2018年山梨県カテゴリー準絶滅危惧(NT) 2005年山梨県カテゴリー準絶滅危惧(NT) 2017年環境省カテゴリー:準絶滅危惧(NT)

    ヤエガワカンバ  2022年6月 乙女高原で撮影。

    幹の樹皮は幾重にも剥げ落ちる。

    幹だけでなく枝の部分の樹皮も幾重にも剥げ落ちる。

    ヤエガワカンバの葉。卵形で先端が尖り、不規則な鋸歯がある。

    2022年6月 八ケ岳美し森で撮影

    樹皮は幾重にも剥げ落ちる。個体数は多い。

    ヤエガワカンバの葉。こちらはやややや菱形状の卵形をしている。

    雄花序の冬芽。 2022年8月 乙女高原で撮影。夏になるともう冬芽が出ている。




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再び湿地に生えるシダ探索、今度こそは・・・  令和5年6月9日

2023年06月12日 | シダの仲間
笛吹市の湿地で珍しいシダが見つかったという情報をいただき、数日前に探しに行ってみたものの道を間違えて生育場所にたどり着けなかった。この日は都合良く現地まで15分ほどで到着出来る場所に出張があった。仕事が終わったのは4時半を過ぎたが、まだ1時間以上は探索が出来る。今度こそは場所を間違えないように、かつ、最短ルートで現地に行ってみる。

    今度はまともな道、大丈夫・・・のはずだ。

    タツナミソウのようだが・・・

    色が薄くてピンク色に見える。おそらくヤマタツナミソウであろう。

    見慣れない植物の大群落

    ハネミギクという北アメリカ原産の植物で、1960年代の初めに養蜂用の蜜源植物として全国の養蜂業者に配布され、野生化したらしい。

    見慣れないカヤツリグサ科の植物が生えていた。

    これはミコシガヤのようである。

    湿地の縁に生えていた。これはおそらくアケボノソウであろう。

    ヤマドリゼンマイの群生

    今度はコウヤワラビの群生

    湿地の中をさまよっていたら見慣れないシダの群生に出会った。これが探していたシダだろう。

    根元から株立ちしていて一見するとミヤマクマワラビやオシダに似ている。

    全体的に細長い流線型をしていて羽片どおしの隙間が広い。これはタニヘゴというシダらしい。

    羽片は鋸歯が著しくノコギリシダに似ている。基部の裂片が最も大きい。

    裏側を見ると幸運なことにソーラスが付いていた。

    ソーラスは羽片の中軸寄りに付き、やや大きい。

    鱗片は茶色で薄く幅が広い。

    存分に堪能させてもらった。

 タニヘゴはおそらく山梨県で発見されたのは初めてではないかと思う。夏緑性のシダで、ソーラスを付けたばかりのこの季節が最も生き生きとした姿が見られるのではないだろうか。今度こそ、タニヘゴという初めて出会う良いシダを見ることが出来た。情報を提供してくれた花仲間に感謝したい。

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ゼンテイカ (ワスレグサ科)

2023年06月12日 | その他の絶滅危惧種
学名:Hemerocallis dumortieri C.Morren var. esculenta (Koidz.) Kitam. ex M.Matsuoka et M.Hotta

 山地帯の草原を好んで生育する多年草である。普通は根に紡錘状の膨らみはなく、匍匐枝もない。花茎は立ち、高さは 60 ~ 80㎝。花序は短く、長さ1.5 ~ 6㎝、2 分岐し、花は総状につける。花柄は短い。花は橙黄色、直径 5㎝内外で、朝に開花すると夕方にはしぼんでしまう一日花である。花期は 7 ~ 8 月。他県では大群生する草原が多数あるが、山梨県ではそのような群生地は無く山間の草地に点々と咲いている。

 2018年山梨県カテゴリー: 準絶滅危惧(NT) 2005年山梨県カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(VU) 2017年環境省カテゴリー:なし

    ゼンテイカ、一般にはニッコウキスゲと呼ばれている。 2022年7月 八ヶ岳で撮影

    花は橙黄色のラッパ型、花弁は6弁。

    草むらを好んで生育する。他県では戦場ヶ原や尾瀬ヶ原、車山高原のような大群生地があるが、山梨県ではそのような群生は見られない。

    花は1日花で朝に開花して夕方にはしぼんでしまう。



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