先日、「朝日」夕刊のシリーズ囲み記事「各駅停話」で、西武新宿線の「南大塚」駅・「安比奈線」が取り上げられていました。この路線、以前から話には聞いていたので、さっそく出かけることにしました。「南大塚」駅に12時少し過ぎに着いて歩き始めました。
ところで、この「安比奈線(あひなせん)」。
「Wikipedia」によると、
埼玉県川越市の南大塚駅から同市内入間川沿いの安比奈駅へと至る西武鉄道の貨物線である。1967年(昭和42年)から、長らく休止されたままとなっている。あくまでも「休止中」であって廃止ではないが、周囲の道路の橋脚が建築限界を侵食して建設されていたり、線路が寸断されている個所も多数存在していたりと、現状では列車の運転は不可能であり、実質的には廃止状態である。書籍などによっては「廃線」とされているものもある。
なお、当路線が延びている入間川の対岸には安比奈新田(あいなしんでん)という地名があるが、安比奈線の安比奈の読みは「あひな」である。
《歴史》
入間川で採取した砂利の運搬を目的として1925年(大正15年)2月15日に開業した。
入間川での川砂利の採取が1967年(昭和42年)に禁止され、当路線は休止された。一時期、西武鉄道の貨車の留置・解体に使われたこともあったが、路線としては復活も廃止もされることがなく、休止されたままとなっている。
《現況》
現在、線路や架線柱などは残されているものの、ほとんど整備はされておらず、即座に運行再開できる状態ではない。枕木は朽ち果て、国道16号の横断など踏切はほぼすべてアスファルト舗装で埋められており、八瀬大橋への取り付け道路は路線を完全に遮っている。
長らく放置され、かつては線路上を歩くこともできたが、枕木の腐朽が進んで危険なことから、踏切など線路に入れる場所にはすべて柵が取り付けられた。また敷地内への立ち入りを禁止する旨の看板も設置されている。
2006年(平成18年)11月5日、西武鉄道の前身川越鉄道の開業111周年を記念した「小江戸川越鉄道開設111周年記念フェア」の関連イベントとして、「幻の貨物線西武安比奈線を歩く」が開催された。イベントにあわせて一部手入れがなされたようであり、「廃線ではない」ことをアピールしている。
川越が主舞台となった2009年(平成21年)上期のNHKの連続テレビ小説『つばさ』のオープニングシーンで当路線の一部(池の辺の森 - 池部用水橋梁付近)が映し出されている。写真では枯葉のシーズンの廃線跡が掲載されている。また、劇中でも川越市内を電波調査して回るシーンがあり、つばさ(多部未華子)と昌彦(宅間孝行)が線路脇を歩いたほか、竹雄(中村梅雀)が妻の加乃子(高畑淳子)を乗せたトロッコを押して走り続けたら西武新宿駅まで行ってしまうシーンがあった(実際には線路が分断されているので行くことはできない)。
最終回終盤の場面では当路線にて翔太(小柳友)がつばさの乗ったトロッコを押して走るシーンがあった。また番組放送に合わせ、2009年(平成21年)4月から9月末日までロケ地が遊歩道として開放され、撮影時使用されたトロッコも展示されたほか、放送を記念した見学イベントも開催された。同年12月放送の『つばさ総集編』前に放送されたスピンオフ『好きと言えなくて。青春編』にもトロッコを押して走るシーンが撮影され放映された。
《安比奈線復活計画》
1980年代末、西武新宿線の旅客増に対応するため上石神井駅 - 西武新宿駅間を複々線とする計画が発表され、それに伴う車両の増備のために安比奈駅に新しい車両基地を作る計画が浮上した。川越市と狭山市では仁杉巌社長(当時)が出席し地元説明会も開催された。当路線の旅客線・通勤線化という話まで出ていたが、少子高齢化などの影響で需要予測が下方修正されたため、この計画は1995年(平成7年)に無期延期となった。
当路線の復活には、住宅地開発の事業として川越市や隣の狭山市も乗っており、2001年(平成13年)12月の狭山市議会において、狭山市側から車両基地完成は2008年(平成20年)3月ごろの見込みとの答弁があった。南大塚駅すぐ横の国道16号や八瀬大橋との交差問題や、安比奈駅周辺の土地買収に反対している少数の地主がいるために難航しているが、すでに西武建設安比奈作業所が設けられ、車両基地設置のためのトラック進入路整備などの工事は行われている。合意が得られていない地権者がいるため、現段階の計画では車両収容数は200両の予定だが、合意が得られ次第300両にするとしている。300両収容が実現すれば、当車両基地は新宿線系で最大となり、本所が南入曽から変更されることも考えられる。
なお川越市では、当路線の復活とともに将来的に新駅設置と的場駅まで延伸する構想があり、市議会で度々議題にあげられている。
西武鉄道本社の見解としては、「西武新宿線(支線を含むと推測される)の車両収容限界が近づいており、ゆくゆくは新たな車両基地を安比奈に建設する予定」との姿勢を変えていない。そのため、近年周辺整備を始めている。そのせいか、線路が分断されているにもかかわらず、割と新しいPC枕木が挿入されている個所がある。しかし、西武鉄道からの復活に関する発表は未だにない。


下り線ホームから見たところ。 同(新狭山駅方向)。
「南大塚」駅。現在は相対式ホーム2面2線の地上駅だが、かつては、構内踏切のある島式ホーム2面4線の形態であった、らしい。その名残が線路配置等に見られるようだ。
《地図上の変遷》





但し、中央左奥に見える架線柱の位置とずれている。もう少し左側の道路沿い(あるいは道路そのもの)が本来の線路と思われる。
地上に降りていよいよ探索開始。
まず本線との合流地点を探索。新狭山駅方向へ。


その先の踏切のところにレールが埋め込まれている。


これは南大塚駅構内支線の一部が残っているものか?


「南大塚駅」方向を望む。


ここからいよいよ本格的なスタート。
いきなり線路は途中で途切れ、コンクリート製の枕木が行く手を阻むようにたくさん積まれている。




新設道路上の真新しい線路(びっしり道路に埋め込まれていて走れる状態ではない)。進むべき線路の方向(かつての方向)と右に少しずれている。どういう意図があるのか?


架線柱が残っている。このあたりは、けっこう広いスペースになっている。

カーブを描きながら進むと、国道16号線と交差する。



交通量の激しい「国道16号線」。復活したとしても、この交差をどうするか?
国道上には線路はいっさいなく、両側の歩道に残っている。

向こう側に行くのには、少し離れた横断歩道か、歩道橋しかない。ぐるっと迂回して線路脇を歩くことに。



