おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

「小久保こ線橋」。西明石・上ヶ池公園の片隅の「トラス橋」。

2014-11-07 20:29:20 | 鉄道遺跡

 神戸に住んでいた知人が亡くなりました。同い年ということもあって、突然の死に驚きました。

 さっそく「告別式」に出かけました。「新神戸」で降りて乗り換えて行けば、くらいに軽く考えていましたが、とんでもない。山陽新幹線「西明石」駅からタクシーの方が便利ですよ、と地元の方から聞いて、そうしましたが、けっこう乗りでがありました。

 さて、お葬式も済んで再び「西明石」駅へとタクシーに乗り、ひょんな話から、「廃線」とか「鉄道遺跡」に興味があるんですよ、行く先々で寄るんです、と話したところ、こういうものがありますよ、と運転手さん。その案内で寄り道しました。それがこれ。

 JR「西明石」駅北西にある「上ヶ池公園」の片隅、広いグランドの脇に置かれた一連のアーチ橋。



 「トラス橋」形式のもの。どこかで見たことがあるような、そう、東京・深川の「八幡橋」(元弾正橋)、零岸島の「南高橋」(元の両国橋)、あるいは横浜・みなとみらい「汽車道」の鉄橋、・・・の雰囲気にそっくりの古めかしさ。

 「説明板」によると、この橋は西明石駅の跨線橋だったものをここに移設したものらしく、元々は明治中期に架けられた九州鉄道の鉄道橋。昭和2年に九州から移設し、跨線橋として平成6年まで使用され、新しい橋の架設に伴いこの公園に移されたとのことでした。



「小久保こ線橋」の歴史 

 西明石の北と南を結ぶ道路としてJR山陽本線上に架けられていた「小久保こ線橋」は橋桁として古い歴史を持ち、百有余年の永い間、その役目を果たしてきた。
 新しい陸橋の新設に伴い、この地に移設し、その歴史をここに刻み、末永く保存することとした。

 この鉄橋は、明治23年(1890)、当時の九州鉄道株式会社(現、鹿児島本線等)が鉄道橋として、ドイツのハーコート社に発注、技師ヘルマン・ルムシェッテル(1844―1918)の指導の下で建設された70連余りのトラス桁の一つである。
 昭和の初め現西明石駅構内に鉄道省の機関区が設置されるに伴い、小久保・鳥羽から藤江・松江に通じる林道の代替道路が作られた。
 その際、鉄道橋として使われていたトラス桁を転用して昭和2年(1927)に延長65mの「小久保こ線橋」が建設された。
 その後、戦中、戦後の激動の時代を経て、昭和36年(1961)、鷹取・西明石間の複々線化に伴い、こ線橋は88mに延伸された。
 そして、平成6年(1994)新こ線橋(西明石陸橋)の完成によって永い勤めを終えることになった。
 幾星霜の風雪に耐えて、その役目を終えたこの「こ線橋」は今、終生の地となるここ西明石・上ケ池公園で人々の憩う姿を静かに見守っている。
                       
                 平成7年3月      明石市

説明板からの「小久保こ線橋」。
    
トラス橋

 鉄の部材同士が自由に回転できる状態(ピン結合)にしたものを三角形状に組み立てた橋のこと。
 接続部にかかる負担を、水平、斜め、鉛直に分解される為、負担がかかっても隣接する部材に負担をかけない。故に三角形状に組み立てるトラス構造は安定性があり、強い構造といえる。
 さらに各部材に働く応力は、上弦材(合掌部)には圧縮力が働き、下弦材(梁部)には引張力が働く。支点に近いほど働く力は大きい。 下弦材(梁部)の中央部ほど、引張力は大きいが、斜め骨組材にかかる荷重は中央部ほど小さいというのが特徴。

HPより)。

 また、この橋桁の構造は、「ボウストリングトラス」とよばれるものだそうだ。

 ボウストリングトラス (Bowstring truss) とは、上弦と下弦がそれぞれ弓(ボウ)と弦(ストリング)のような形状となっているもの。
 日本では、1890年代にドイツのハーコート製のプレハブ式のものが70連ほど導入された。プレハブ式であったのは、組み立てに簡便なことを狙ったもので、そのためにピントラス構造であった(ドイツ国内では剛結合が一般的であった)。九州鉄道は47連を導入したが、その後、車両の大型化に伴い架け替えの必要が生じた。架け替えの理由は部材の劣化ではなく、単に設計荷重が少ないためだったので、それでもよい道路橋などに転用された。
(以上、「Wikipedia」より)

 「プレハブ式」というのが興味深い。三角形を基本構造の一単位として、それらをつなぎ合わせていくという発想。

 したがって、各部の接合にボルトとピンを多様しているのが特徴。

  

  
 説明板とピンの展示。

ピントラス橋梁

 三角形の構造体を一単位としたトラス橋では、連結部が自由に回転しなければならない。この条件を満たす為、貫通ピンの構造にした橋梁をピントラス橋梁という。

  

 じっくり細部まで観察したかったですが、新幹線の時間も迫ってきて、ここまで。

  
 振り返ると、かつての姿のように鉄道線路の上を歩いているような雰囲気になりました。

「上ヶ池公園」入口。
 
「元弾正橋」(都内最古。国産の鉄で作られた最初のもの)。

「汽車道・第一橋梁」(アメリカ製。「第三橋梁」はイギリス製)。

「南高橋」(旧「両国橋」の一部を再利用、車道として今も現役)。

 なお、「小久保こ線橋」と同じ、ドイツのハーコート製の橋として現存し、日本で最古の鉄橋とされるのが、大阪にある「緑地西橋」。

 緑地西橋(りょくちにしばし)。
 大阪府大阪市鶴見区にある大阪市道に架かる道路橋。全長36.7mのアーチ橋であり、日本現存最古の鉄橋と言われている。
 もともとは、長堀川に架かっていた鉄橋の旧心斎橋であり、旧心斎橋より撤去された後、途中3ヵ所にて橋梁の移設・撤去を繰り返した後、現在地に移設されたものである。現在の本橋梁では、旧心斎橋からボウストリングトラス桁の主構のみを転用し保存している。
 1873年(明治6年)にドイツより輸入されたドイツ・ハーコート(Harkort'sche Fabrik)製である。また、トラスの部材(錬鉄製)をボルトで締めて連結組立てを行う、プレハブ式であるのが特徴である。なお、橋床にあたる部分には鋼桁橋が架かっており、トラス桁自体が支える構造にはなっていない。
(以上、「Wikipedia」より)

 この「小久保こ線橋」は、公園内の散策路の一部として平地に設置され、橋としての用途はない。しかし、初期の日本の鉄道を支え、その後もこうして市民に結びついた橋として100年以上も現役を勤めているのはすばらしいことです。

明石大橋。但し、駅のポスター。

 新幹線の西明石駅は一時間に一本。

閑散としたホーム。

  
 猛スピードで過ぎ去る下り線。                 一瞬の出来事。

コメント
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