反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―森本あんり/著
「十九世紀に大富豪となった鉄鋼王アンドリュー・カーネギーは、教養や知性をこんな言葉で軽蔑している。大学では、ギリシア語やラテン語のような「インディアンの言葉と同じように何の役にも立たない言語」を学んだり、ツキディデスの『ペロポネソス戦争史』のような「野蛮人同士のとるに足らない争いの詳細」を学んだりするが、みなまったくの浪費である。そんな教育は、学ぶ者に誤った観念を吹き込み、現実生活を嫌うことを教えるだけだから、大学など行かずにさっさと実業界に出たほうがよい。」(p238)
反知性主義の真骨頂ともいうべき言葉である。
確かに、カーネギーが、いわゆる「知性的人間」の現実嫌悪・厭世的世界観の問題を指摘した点は鋭いと思う。
だが、カーネギー的な行き方だと、「勢力圏」をひたすら拡大し続ける2つの大国が、お互い相手に対し恐怖心を抱き、挙句の果てに戦争に突入したという貴重な過去の教訓が、まったく活かせないことになりそうである。
それを最も必要としている国の一つと思われるのだが・・・。
「十九世紀に大富豪となった鉄鋼王アンドリュー・カーネギーは、教養や知性をこんな言葉で軽蔑している。大学では、ギリシア語やラテン語のような「インディアンの言葉と同じように何の役にも立たない言語」を学んだり、ツキディデスの『ペロポネソス戦争史』のような「野蛮人同士のとるに足らない争いの詳細」を学んだりするが、みなまったくの浪費である。そんな教育は、学ぶ者に誤った観念を吹き込み、現実生活を嫌うことを教えるだけだから、大学など行かずにさっさと実業界に出たほうがよい。」(p238)
反知性主義の真骨頂ともいうべき言葉である。
確かに、カーネギーが、いわゆる「知性的人間」の現実嫌悪・厭世的世界観の問題を指摘した点は鋭いと思う。
だが、カーネギー的な行き方だと、「勢力圏」をひたすら拡大し続ける2つの大国が、お互い相手に対し恐怖心を抱き、挙句の果てに戦争に突入したという貴重な過去の教訓が、まったく活かせないことになりそうである。
それを最も必要としている国の一つと思われるのだが・・・。