Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

健全な自我の拡張(3)

2022年04月23日 06時30分09秒 | Weblog
ニーチェ全集10 ─ツァラトゥストラ(下) フリードリッヒ・ニーチェ 著 , 吉沢 伝三郎 翻訳
 「諸事物に名称と音声とが贈られているのは、人間が諸事物で元気を養うためではないか?語ることは、一つの美しい愚行である。語ることによって、人間は一切の諸事物を超えて舞踏し行くのである。」(p141)

Sind nicht den Dingen Namen und Töne geschenkt, dass der Mensch sich an den Dingen erquicke? Es ist eine schöne Narrethei, das Sprechen: damit tanzt der Mensch über alle Dinge.

 このくだりは、数ある「ツァラトゥストラ」中のサミットの一つだと思うのだが、ここから”ソシュール山脈”の姿が見えるように感じる。
 意外にも、ニーチェからソシュールへの距離は遠くないのではないかという気がする。
 さて、ニーチェが「支配欲」と呼ぶところのものを「自我の拡張」と言い換えてみれば、”名づけ”という行為は、「自我の拡張」の最も一般的なあらわれということが出来るだろう。
 「即興詩人」のアントニオ=アンデルセンの分身(健全な自我の拡張)やヘッセが出会った踊る少女(健全な自我の拡張(2))と同じように、私は、これこそ、健全な自我の拡張のもっとも身近な例だと思うのである。
コメント
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