Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

盛り合わせ交響曲

2022年04月12日 06時30分03秒 | Weblog
東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.9 マーラー《交響曲第3番》
 第4楽章:「ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語り』からこの歌詞は取られている。その書物が発表されたのは、マーラーが第3番を作曲する約十年前。つまり、当時としてはほぼ最新の思想と呼んでかまわないだろう。・・・
 第5楽章:「この楽章の歌詞は『子供の魔法の角笛』に由来する。・・・」(公式プログラムp54)

 マーラーの3番は、彼の交響曲の中では一番長いらしいが、登場する演奏家と合唱隊の人数も多い。
 最前列のヴァイオリン奏者などは、ちょっと動くと舞台から落ちそうな勢いである。
 さて、この交響曲の第4楽章では、「ツァラトゥストラ」の「日の出前」が引用されている。
 歌詞とメロディーもよく調和していて、いい感じである。
 ところが、第5楽章で唖然とする。
 なんと、合唱隊と、第4楽章でソロパートを歌ったばかりの女性とが、「ペテロには罪がない」などと、イエスによる救済を高らかに謳っているのである。
 ニーチェがキリスト教を敵視・弾劾していることは周知のとおりだが、どうやら、マーラーは「ツァラトゥストラ」を斜め読みして、歌詞に使えそうなところを、あまり考えずに引用したように思える(深読みすると、ニーチェとキリスト教を、交響曲において「和解」させようとしたのかもしれないが・・・。)。
 このカップリングはおそらく最悪で、「盛り合わせ交響曲」の欠点が出てしまったようである。
 卑近な例でいうと、社員旅行で部屋割りを失敗し、犬猿の仲にある二人の幹部を同じ部屋に配置してしまったような、気まずい雰囲気を感じる。
 もっとも、マーラーのような大音楽家に対して、日本のサラリーマンのような「人間関係を読む」配慮(忖度?)を求めるのは、筋違いの話かもしれないのだが・・・。
コメント
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