東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.9 マーラー《交響曲第3番》
第4楽章:「ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語り』からこの歌詞は取られている。その書物が発表されたのは、マーラーが第3番を作曲する約十年前。つまり、当時としてはほぼ最新の思想と呼んでかまわないだろう。・・・」
第5楽章:「この楽章の歌詞は『子供の魔法の角笛』に由来する。・・・」(公式プログラムp54)
マーラーの3番は、彼の交響曲の中では一番長いらしいが、登場する演奏家と合唱隊の人数も多い。
最前列のヴァイオリン奏者などは、ちょっと動くと舞台から落ちそうな勢いである。
さて、この交響曲の第4楽章では、「ツァラトゥストラ」の「日の出前」が引用されている。
歌詞とメロディーもよく調和していて、いい感じである。
ところが、第5楽章で唖然とする。
なんと、合唱隊と、第4楽章でソロパートを歌ったばかりの女性とが、「ペテロには罪がない」などと、イエスによる救済を高らかに謳っているのである。
ニーチェがキリスト教を敵視・弾劾していることは周知のとおりだが、どうやら、マーラーは「ツァラトゥストラ」を斜め読みして、歌詞に使えそうなところを、あまり考えずに引用したように思える(深読みすると、ニーチェとキリスト教を、交響曲において「和解」させようとしたのかもしれないが・・・。)。
このカップリングはおそらく最悪で、「盛り合わせ交響曲」の欠点が出てしまったようである。
卑近な例でいうと、社員旅行で部屋割りを失敗し、犬猿の仲にある二人の幹部を同じ部屋に配置してしまったような、気まずい雰囲気を感じる。
もっとも、マーラーのような大音楽家に対して、日本のサラリーマンのような「人間関係を読む」配慮(忖度?)を求めるのは、筋違いの話かもしれないのだが・・・。
第4楽章:「ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語り』からこの歌詞は取られている。その書物が発表されたのは、マーラーが第3番を作曲する約十年前。つまり、当時としてはほぼ最新の思想と呼んでかまわないだろう。・・・」
第5楽章:「この楽章の歌詞は『子供の魔法の角笛』に由来する。・・・」(公式プログラムp54)
マーラーの3番は、彼の交響曲の中では一番長いらしいが、登場する演奏家と合唱隊の人数も多い。
最前列のヴァイオリン奏者などは、ちょっと動くと舞台から落ちそうな勢いである。
さて、この交響曲の第4楽章では、「ツァラトゥストラ」の「日の出前」が引用されている。
歌詞とメロディーもよく調和していて、いい感じである。
ところが、第5楽章で唖然とする。
なんと、合唱隊と、第4楽章でソロパートを歌ったばかりの女性とが、「ペテロには罪がない」などと、イエスによる救済を高らかに謳っているのである。
ニーチェがキリスト教を敵視・弾劾していることは周知のとおりだが、どうやら、マーラーは「ツァラトゥストラ」を斜め読みして、歌詞に使えそうなところを、あまり考えずに引用したように思える(深読みすると、ニーチェとキリスト教を、交響曲において「和解」させようとしたのかもしれないが・・・。)。
このカップリングはおそらく最悪で、「盛り合わせ交響曲」の欠点が出てしまったようである。
卑近な例でいうと、社員旅行で部屋割りを失敗し、犬猿の仲にある二人の幹部を同じ部屋に配置してしまったような、気まずい雰囲気を感じる。
もっとも、マーラーのような大音楽家に対して、日本のサラリーマンのような「人間関係を読む」配慮(忖度?)を求めるのは、筋違いの話かもしれないのだが・・・。