Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

後味の悪い傑作

2022年06月01日 06時30分54秒 | Weblog
映画『叫びとささやき』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。ベルイマン監督が家族の愛憎と人の欲望を“強烈な赤”で彩る
 「叫びもささやきもかくして沈黙に帰した。その一言で、映画は幕を閉じました。

 またベルイマン作品を観ているが、「叫びとささやき」もなかなかの傑作である。
(それにしても、この解説の見事なこと!)
 だが、非常に後味が悪く、特に夜寝る前に観るのはよくないと思う。
 エンディングの「叫びもささやきもかくして沈黙に帰した」という一文は、後味の悪さを決定的なものにしている。
 そういえば、映画に限らず、「後味の悪い傑作」というのは結構多い。
 小説で言えば、やはり「白鯨」(MOBY-DICK)などはその筆頭だろう。
 エンディングの「ピークォド号の沈没」(実は、この後にEPILOGUEがあるのだが・・・)の一文は次のとおり。
 ”Now small flows flew screaming over the yet yawning gulf; a sullen white surf beat against its steep sides; then all collapsed, and the great shroud of the sea rolled on as it rolled five thousand years ago.

 「いま、小さな水禽が、まだ口を開いている深淵の上を啼きながら舞い、渋面した白波がその険しい側面を叩いた。やがてすべては潰え滅び、大いなる海の柩衣は、五千年前と同じうねりをうねりつづけた。」(田中西二郎訳)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする