弁護士会で菅野和夫先生を講師に招いて研修を行うというので、二十数年ぶりに先生の講義を聴きに行った。
3部構成となっており、第1部では労働法制の歴史についての概説があった。
やはり、日本は、労働法の領域でも「外圧」に左右されてきたことを痛感する。
90年代以降の「グローバリズム」に伴う「非正規雇用の拡大」はまさしく「外圧」に対処したものだが、それに先立つ80年代においては、諸外国からの「失業の輸出」という批判をかわす目的で、(90年代とは逆方向だが)「労働時間規制」が行われていたのである。
「失業の輸出」という言葉から、私は、エマニュエル・トッド氏の指摘を思い出した。
グローバリズムが世界を滅ぼす エマニュエル・トッド ハジュン・チャン 中野剛志 藤井聡 柴山桂太 堀茂樹
「・・・私はついに理解したのです。・・・各国は、近隣国を競争相手にすることで、グローバル化した世界の中で生き延びようとしています。ドイツがどの国を相手に自国の経済や産業、金融のバランスを取ろうとしているかといえば、それは自国のパートナーに対して、つまりフランスに対して、イタリアに対してなのです。
アジアに目を転じても、中国でも、事情は似たようなものだといえるでしょう。」(p162)
グローバリズムは「失業の輸出」、つまり一種の近隣窮乏化政策だというわけである。
分かりやすく言えば、「近隣の低労働コスト国の労働を利用して出来た製商品を遠く離れた需要国に売って稼ぐ」という発想である。
こうした観点からすると、日本の労働法制は、「失業の輸出」から「失業の輸入」へと転換したに過ぎないようである。
そろそろこの悪循環から抜け出し、「安定的な内需とそれに基づく雇用の安定」といった、まっとうな発想に基づく政策が出てこないものだろうか?
3部構成となっており、第1部では労働法制の歴史についての概説があった。
やはり、日本は、労働法の領域でも「外圧」に左右されてきたことを痛感する。
90年代以降の「グローバリズム」に伴う「非正規雇用の拡大」はまさしく「外圧」に対処したものだが、それに先立つ80年代においては、諸外国からの「失業の輸出」という批判をかわす目的で、(90年代とは逆方向だが)「労働時間規制」が行われていたのである。
「失業の輸出」という言葉から、私は、エマニュエル・トッド氏の指摘を思い出した。
グローバリズムが世界を滅ぼす エマニュエル・トッド ハジュン・チャン 中野剛志 藤井聡 柴山桂太 堀茂樹
「・・・私はついに理解したのです。・・・各国は、近隣国を競争相手にすることで、グローバル化した世界の中で生き延びようとしています。ドイツがどの国を相手に自国の経済や産業、金融のバランスを取ろうとしているかといえば、それは自国のパートナーに対して、つまりフランスに対して、イタリアに対してなのです。
アジアに目を転じても、中国でも、事情は似たようなものだといえるでしょう。」(p162)
グローバリズムは「失業の輸出」、つまり一種の近隣窮乏化政策だというわけである。
分かりやすく言えば、「近隣の低労働コスト国の労働を利用して出来た製商品を遠く離れた需要国に売って稼ぐ」という発想である。
こうした観点からすると、日本の労働法制は、「失業の輸出」から「失業の輸入」へと転換したに過ぎないようである。
そろそろこの悪循環から抜け出し、「安定的な内需とそれに基づく雇用の安定」といった、まっとうな発想に基づく政策が出てこないものだろうか?