東京バレエ団「くるみ割り人形」全2幕
バレエを観ているとき、最も緊張する瞬間がある。
それは、「くるみ割り人形」の「アンダンテ マエストーソ」でのリフトの瞬間である(吉田都 バーミンガム・ロイヤル・バレエ くるみ割り人形 パ・ド・ド。おそらくピーター・ライト版)。
これは、素人目で観てもこの演目最大の難所であり、ヌレイエフ版などはダンサーの能力を極限まで試すようなコリオに見える。
しかも、私は、オペラやバレエを観るときは、舞台上の人物に感情移入するタイプの人間なので、このパ・ド・ドゥが始まると、一年のうち最も私の心臓がバクバクしてしまうのである。
今年は、まず東京バレエ団の「くるみ割り人形」を観たのだが、「アンダンテ マエストーソ」の冒頭で、バレリーナの方が、おそらく緊張の余り、グラつく場面があった。
既にこの時点で私の心臓がバクバクし始める。
だが、その後はおおむねスムーズな動きとなり、最後は安堵することができた。
ところが、こういう”グラつく”動きを逆手にとるダンサーもいる。
オペラ座のドロテ・ジルベールである。
「ル・グラン・ガラ2019」のライモンダでは、つま先立ちの状態で彼女がグラグラし出したので、観客がざわつき始めたところ、彼女はニヤリと笑って、そのまま数秒間”グラグラ”を続けた。
つまり、これはおそらく、わざとグラつくことによって、観客を動揺させようとしたのである。
私は、この人はおそらく心臓に毛が生えているのではないかと思う。
なので、その翌年の来日公演で彼女が「ジゼル」(心臓が弱い女性)を演じたときは、何だか嘘くさいと思ってしまったのである。
バレエを観ているとき、最も緊張する瞬間がある。
それは、「くるみ割り人形」の「アンダンテ マエストーソ」でのリフトの瞬間である(吉田都 バーミンガム・ロイヤル・バレエ くるみ割り人形 パ・ド・ド。おそらくピーター・ライト版)。
これは、素人目で観てもこの演目最大の難所であり、ヌレイエフ版などはダンサーの能力を極限まで試すようなコリオに見える。
しかも、私は、オペラやバレエを観るときは、舞台上の人物に感情移入するタイプの人間なので、このパ・ド・ドゥが始まると、一年のうち最も私の心臓がバクバクしてしまうのである。
今年は、まず東京バレエ団の「くるみ割り人形」を観たのだが、「アンダンテ マエストーソ」の冒頭で、バレリーナの方が、おそらく緊張の余り、グラつく場面があった。
既にこの時点で私の心臓がバクバクし始める。
だが、その後はおおむねスムーズな動きとなり、最後は安堵することができた。
ところが、こういう”グラつく”動きを逆手にとるダンサーもいる。
オペラ座のドロテ・ジルベールである。
「ル・グラン・ガラ2019」のライモンダでは、つま先立ちの状態で彼女がグラグラし出したので、観客がざわつき始めたところ、彼女はニヤリと笑って、そのまま数秒間”グラグラ”を続けた。
つまり、これはおそらく、わざとグラつくことによって、観客を動揺させようとしたのである。
私は、この人はおそらく心臓に毛が生えているのではないかと思う。
なので、その翌年の来日公演で彼女が「ジゼル」(心臓が弱い女性)を演じたときは、何だか嘘くさいと思ってしまったのである。