「失楽園」不倫関係の純愛を描いた小説【あらすじ・感想】
「失楽園は閑職の久木祥一郎が書道家の松原凛子と不倫関係になり、最終的には心中を選んでしまう内容の小説です。」
「凛子は性行為の絶頂の中で、死にたいという願望を持っています。久木はまだこの世に未練があるようでしたが、魔将の女に死の淵に引き寄せられてしまいます。
作者の渡辺淳一は、阿部定事件を元にしてこの小説を書いたと話しています。」
読んでいない本について語るのは気がひけるのだが、岡野・豊﨑両氏のコメントと、上に引用した感想文を読んだ時点で、私は、もうこの小説を読む必要はないように感じた。
要するにこれは、「仕事も家庭も失った中年男女のエロスとタナトス」を描いた小説なのだ。
この種の「死によって成就される愛」というテーマについて、わが国には、古事記以来の長い伝統がある。
その嚆矢は、軽太子・軽大郎女の物語(『古事記』をよむ軽太子・軽大郎女の物語)であり、加藤周一氏は、これが「曾根崎心中」にまで脈々と流れてきたようだと指摘する。
ジュンちゃんは、この伝統を踏まえながらも、わざわざ最も美しくないシチュエーションを選んで、愛欲ドロドロの小説に仕立て上げたのである。
これが、当時の人々に大いに受けたという事実は、当時の社会全体が大きな問題を抱えていたことを窺わせるものと言える。
実際、当時の社会には、大きな動きがあらわれようとしていた。
自殺者の急増である。
「自殺者数の推移」を見ると、1997年を境に、自殺者数が急増しているのである。
「失楽園は閑職の久木祥一郎が書道家の松原凛子と不倫関係になり、最終的には心中を選んでしまう内容の小説です。」
「凛子は性行為の絶頂の中で、死にたいという願望を持っています。久木はまだこの世に未練があるようでしたが、魔将の女に死の淵に引き寄せられてしまいます。
作者の渡辺淳一は、阿部定事件を元にしてこの小説を書いたと話しています。」
読んでいない本について語るのは気がひけるのだが、岡野・豊﨑両氏のコメントと、上に引用した感想文を読んだ時点で、私は、もうこの小説を読む必要はないように感じた。
要するにこれは、「仕事も家庭も失った中年男女のエロスとタナトス」を描いた小説なのだ。
この種の「死によって成就される愛」というテーマについて、わが国には、古事記以来の長い伝統がある。
その嚆矢は、軽太子・軽大郎女の物語(『古事記』をよむ軽太子・軽大郎女の物語)であり、加藤周一氏は、これが「曾根崎心中」にまで脈々と流れてきたようだと指摘する。
ジュンちゃんは、この伝統を踏まえながらも、わざわざ最も美しくないシチュエーションを選んで、愛欲ドロドロの小説に仕立て上げたのである。
これが、当時の人々に大いに受けたという事実は、当時の社会全体が大きな問題を抱えていたことを窺わせるものと言える。
実際、当時の社会には、大きな動きがあらわれようとしていた。
自殺者の急増である。
「自殺者数の推移」を見ると、1997年を境に、自殺者数が急増しているのである。