Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

25年前(9)

2022年12月15日 06時30分01秒 | Weblog
 医師の石澤哲郎先生(ご挨拶)によれば、自殺の実行リスクを高める主な要素は3つあるそうである(東京三弁護士会主催の研修「新型コロナ時代の自殺予防対策」より)。

 ① 「所属感の減弱」:「この世における自分の居場所を見失う感覚」のこと。
 ② 「負担感の知覚」:「自分が生きていると周囲に迷惑をかける」という感覚のこと。ちなみに、「返済困難な借金」を抱えている人の自殺率は、通常より38.43倍も高い。
 ③ 「自殺潜在能力」:「苦痛に対する慣れ」のこと。例えば、暴力被害(加害)体験が挙げられ、このため格闘技愛好家は自殺率が高い。


 ③は別として、①②がいずれも対人関係の問題である点が重要である。
 要するに、「経済的に困窮する」ということが自殺に直結するわけではなく、これによって「この世における自分の居場所」が無くなったり、「自分が生きていると周囲に迷惑をかける」という感覚が強まったりすることによって、自殺の実行リスクが高まるのである。
 私見だが、この思考・行動のメカニズムは、réciprocité(レシプロシテ)(相互依存、互酬性)の原理に近いように思われる。
 つまり、「返礼する義務」を果たせないために、「相手に迷惑をかけてしまう」、「自分の居場所がなくなってしまう」という思いがつのり、それが(返礼義務履行型の・擬似的な)ポトラッチとしての自殺をひき起こしてしまうのである。
 この例が、「破産より死を選ぶ」経営者や、「私の死亡保険金を返済に充てて下さい」という遺書をのこして心中した経営者たちなのである。
 こうしてみてくると、25年前に急増した自殺には、擬似ポトラッチ型の自殺が多く含まれているのではないかと思われる。
 だが、この類型のほかに、もう一つ大きな自殺の類型がある。
 それは、”凛子型”ともいうべきタイプの自殺である。
コメント
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